山口陽『人妻子宝温泉【がまんできないの】』

山口陽『人妻子宝温泉【がまんできないの】』
(フランス書院文庫、2020年2月、表紙イラスト:新井田孝)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

民宿を営む舅が怪我で入院を余儀なくされ、その手伝いに行くことになった人妻の由香里。民宿では大学生の昌也も働いており、剛健な身体に似合わず初心なところも見せていて、いつしか肉体関係へと陥ってしまう。しかし民宿に泊まりに来た若妻の久留美や、熟妻の真結子もまた民宿の青年に興味津々の様子で…。


【登場人物】

東雲昌也
20歳の大学生。由香里の義父に世話になっており、入院の話を聞いて民宿の手伝いを申し出る。高校時代はラグビーをしていて、長躯で頑健な身体の持ち主で威圧感を与えるが、女性との付き合いはなく由香里に対してうぶな反応を見せている。民宿の手伝いの合間に身体を鍛えるのが日課となっている。

小野由香里
35歳。夫の父が怪我で入院することになり、姑は看病のために不在なことから、子宝温泉で有名なある地方の民宿の手伝いをすることに。夫はメンテナンス会社に勤務しており、月の半分は出張で不在にしているせいか、セックスレスで欲求不満気味。

下里久留美
26歳。IT関連企業のSEである夫と結婚3年目だが、一向に子どもを授からないことに焦り、子宝温泉の噂を聞き付けて夫婦同伴で民宿に泊まることに。しかし多忙な夫は急な仕事でドタキャンとなり、一人で欲求不満を募らせていた折りに、昌也に興味を持ち始め…。

倉松真結子
41歳。夫は多忙気味で既に子づくりを諦めている節もあり、出張で不在の折りを見て一人で子宝温泉のご利益に預かろうとやって来た。同時期に泊まっていた久留美と仲良くしようと部屋を訪ねたところ、昌也とのふしだらな関係を見てしまい…。


【展開】

夫の実家が営む民宿の手伝いを始めて数日が経ち、「子宝温泉」を謳うだけに若い宿泊客が仲の良さを見せ付けているのを知り、由香里はいつしか昌也に荒々しく抱かれることを夢想し始める。そんなある日浴室の掃除をしながらエッチな妄想をしていた罰が当たったのか、由香里は足を取られて派手に全身ずぶ濡れになってしまう。悲鳴を聞き付けた昌也は目のやり場に困るからとバスタオルを持って来るが、期待通りの反応に衣服を脱ぎ抱いて欲しいと迫る。浴槽に湯を張る間も惜しみ、バッグスタイルで求めた由香里は、昌也の威容に貫かれて中出しまで求めてしまう。

子宝温泉のご利益に預かろうと夫婦同伴で民宿を取ったものの、夫が急な仕事でキャンセルとなり、久留美は一人部屋で暇を持て余していた。他の男にナンパされたら…と妄想に耽っていると、いつしか昌也のことを意識するようになり、ちょうど夕飯の用意にやって来たのを見るやからかい半分で誘惑してしまう。口では拒みつつもモデル体型の肢体に遠慮なく視線を向ける昌也の初心振りに、久留美はセックスして欲しいと求める。ほんの出来心のつもりだったのに、昌也に征服されて中出しを受けると、一度きりという決心が揺らいでいくのを否定できずにいた。

その頃真結子は久留美も一人旅だと知って夕飯を取った後で話でもしようと部屋に向かうが、何と昌也とキスをしている現場に遭遇し自室に戻る。昌也の逞しい身体に抱かれたら…と思いながらのオナニーで絶頂したものの、物足りないのもあって早速翌朝に昌也を問い詰めることにする。カマを掛けられてアッサリと性交を認めた昌也に優位に立ったのを利用して、自慢のEカップバストで極太を挟み込み、パイズリで射精に導く。期待した通り硬度の衰えない昌也を見て、真結子はスカートを脱ぎパンティの股布をずらすと、彼を犯すように騎乗位で繋がって腰を振り白濁を受け入れてしまう。

昌也は休憩時間に部屋で腕立て伏せをしてストレス発散するのが日課である。しかしいつもと違うのは久留美が側で見ていて、汗ばんだ男の上半身を見てウットリとしていることだった。何でそんなに堂々としていられるのか昌也には見当も付かないが、その現場に乱入して来た由香里に対してもあっからかんとしていることに舌を巻くしかない。二人が競い合うようにペニスに舌を這わせ射精に導かれると、昌也も覚悟を決めたらしく、横たわった由香里の上に久留美が覆い被さるようにして重ね餅状態にしてしまう。どちらかに挿入すると他方は不満の声を挙げることに埒があかないと、昌也は二人の淫裂の間に剛直を押し込み、高速ピストンで下腹部に白濁を浴びせるのであった。
その場の流れで3Pを許したものの由香里に灸を据えられた昌也は、今度は浴室で真結子に誘われてしまい、踏み込んだ由香里は甲斐性の無さに怒りながらも対抗の意思を見せる。真結子は切り札とばかりに後ろの穴での性交を望み由香里に見せ付けると、今度は由香里がお返しとばかりに対面座位で昌也に乗っかって中出しを受けてしまう。

人妻たちとの酒池肉林も次の日が最後で、久留美と真結子の希望で由香里も含めて四人で混浴することになった。子づくりを意識してか人妻たちはやけにノリノリで、始めに久留美、次は真結子、最後に由香里に胤付けした昌也だったが、すっかり伸びてしまった由香里の痴態を見て都合三発放ったペニスはまだ元気なままである…。そして一年後人妻の淫らさを知った昌也は、同年代の女性では物足りぬと想い出に耽っていたが、目の前に由香里が現れて心がときめくのを抑え切れない。どうやら由香里は「二人目」を所望のようである…。


【レビュー】

子宝の湯が湧くという温泉地で、民宿を営む義父が倒れたため急遽手伝いに行くことになった人妻の由香里(35歳)。近所に住む大学生の昌也(20歳)も義父に恩があるようで、二人で民宿を切り盛りするのだが、威圧感とは裏腹に初心な昌也と結ばれてしまう。 子宝の湯の評判を聞き付けた若妻の久留美(26歳)と熟妻の真結子(41歳)は、共に夫の仕事によるドタキャンで一人旅を余儀なくされ、民宿の青年との一時の交わりに溺れていく。 なれ初めはヒロイン視点で、後半は昌也視点という切り替えが興味深い。






以下、読書メーターからの追記です。


子づくりを意識した人妻たちがひと時のメイクラブに浸り、その対象となった昌也も始めは人妻たちにやられ放しだったのが、反撃とまでいかないまでも「期間限定」の交わりを楽しむという作風は良かったと思います。

レビューで触れたように敢えて前半と後半で視点を変えたことで、単に昌也が食べられる「だけ」でないのも興味深いところです。


…とここからは本作というよりも、フランス書院文庫全体において気になったことを。

昨今の諸事情もあり官能小説業界でも、色々と配慮が求められる時代になっています。その為に使いたい題材に限りがあるのは理解しますが、これを言い訳にしてしまうとちょっと違うのでは…?という思いもあります。

特に誘惑系に顕著なのは「全員が平均点を取れるような均一化」であり、作家さんだけを変えても題材を使い回していれば、あまり変わりがないという点です。例えると鶏肉と野菜で何か作ってとオーダーすると、満遍なくカレーライスが仕上がるようなものです。例えば素材から浮かべれば肉じゃがやシチューなど何でもありそうなのに、端からカレーライスを作ることに題材が限定されていて、スパイスがどうとか野菜のゴロゴロ感がどうだと評しているようなものです。(もちろんキーマカレーが出て来る場合もありますね…)

他社レーベルの官能作品を読むと直接的な情交描写はそんなにないのに、それでもエロいと感じられることが度々あります。描写の量で勝負するのもありでしょう。個人的には一定量を超えるとオーバーフローしてしまう気はします…。

そんなに文句を言うなら書いてみろと言われそうですが、私にはモノを書く自信はございません(苦笑)だからいち読者の癖に好き放題言ってるわと流していただいても構いませんが…。

この「均一化」は作品のタイトルにも現れています。(これも何度か触れましたが…)2月のラインナップを見ると、過去に使った別の作家さんの作品タイトルをサブタイトル、あるいは帯の宣伝文句に使い回しているのが明白です。たまにはパロディとしてなら楽しめますが、中身は全く違います。

タイトルに関しては正直このままで良いのだろうかという危機感はあります。タイトルの使い回しで、「あっ、これは読んだわ」とライトな購買層が新刊を買う機会を失うのはちょっとまずいのかな…とは思いますね。

↓こちらが本作です。





↓こちらは香坂燈也さんの去年の作品です。





↓こちらは深月久遠さんの作品です。





↓こちらは高宮柚希さんの作品です。


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tag : 大学生主人公 童貞 人妻

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が300冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
一部で関係者(作家さんや編集者さんなど)と思われているようですが、全くの見当違いです。
官能作品に関わる全ての方に感謝しつつ、読み続けていきたいと考えています。

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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