青橋由高『誘われ上手な五人の人妻』

青橋由高『誘われ上手な五人の人妻』
(フランス書院文庫、2018年10月、表紙イラスト:川島健太郎)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





※本作は短編集のため、いつもと形式を変更します。


【あらすじ&展開】

第一話:誘われ上手な隣人妻 夫がいない寝室(書き下ろし)

・広告代理店勤務の青年(27歳)×近所の幼馴染み人妻(33歳)

銀次は出張先で思わぬ人物を見付けて驚きそれを英里奈に報告するが、実は目撃したのは蒸発した彼女の夫であった。英里奈に取ってはとうに未練などなく、幼馴染みの青年が申し訳なさそうにするのを見て…。

第二話:教わり上手な熟肉妻 欲しがりな肉体(原題:バレー部の先輩)

・バレー選手の青年(29歳)×かつてのバレー部の先輩人妻(30歳)

現役バレー選手でリベロを担当する友和は、ママさんバレーのコーチを引き受けたが、その中にかつて憧れだった部活の先輩で、彼よりも長身で人妻らしく熟れた翔子の身体に惹かれていき…。

第三話:甘え上手なモデル妻 世界一綺麗な××で(原題:美しい指の人)

・金属加工職人(25歳)×指を気遣う人妻(29歳)

積もった雪が凍結して滑りやすくなっていた夜道を歩いていた博巳は、向こう側からやって来た理子に魅とれていたが、彼女が前のめりに倒れた際に手を庇い顔が傷付いたのを見て手当てをする。何故そこまで指先に拘るのか、その理由を知って…。

第四話:床上手な淫ら妻 昼顔夫人と電器屋(原題:アフターサービス)

・電器屋の若旦那(20歳)×常連客の夫人(30歳)

家業の電器屋で働く徳人は常連客にビデオデッキを買わせるため、アダルトビデオを手配すると約束していたが、ある日その夫人である悦子にテレビの修理を頼まれる。実は悦子は夫の趣味を知り、若い徳人にアダルトビデオのせいで夫婦生活を蔑ろにされたとクレームを付けるが…。

第五話:押しかけ上手なメイド妻 大胆すぎるご奉仕(書き下ろし)

・教員免許も持つ社長(36歳)×彼を慕う親戚の女子大生(19歳)

広告代理店を営む隼人がある日帰宅すると、そこで待ち受けていたのはメイド姿の親戚・一花だった。一花はかつて不登校に陥って隼人の家で面倒をみてもらったことがあり、彼のメイド萌えの趣味を知ってダイレクトに求婚をせがむのだが…。


【レビュー】

10月の神瀬知巳氏に続き『特選小説』誌で掲載された短編3作品に加え、書き下ろし中編2作品を加えた短編集である。神瀬氏が短編集第三弾、青橋氏が第四弾となるが、何故このお二方に短編集が集中するのかというのは読んだ方ならお分かりの通り、それぞれに独特で確固たる創作観をお持ちだからではなかろうか。そしてそれを支持する愛読者が多いからに他ならない。

約90ページに渡る中編は書き下ろしで最初と最後に持っていき、短編三話は加筆修正の上で約40ページずつとは言え元々独立していた話を再構成し、これまでの短編集と同様にリンクさせている。既刊を読んだ方ならお分かりであるようにいわゆる連作形式だが、今回はもう一つある仕掛けを施しており、そこは本作を読んで確かめていただきたい。書き下ろしに再構成と巻末ではサラッと書かれているのだが、実質的にはほぼ新作一冊分以上の労力を注いだものと思われ、妥協のない仕上がりに感服するばかりである。

第五話に関しては「メイド」の記述があるように、作者の主戦場でもある美少女文庫作品の世界観と同一線上にあるもので、そちらも読んでいる方であれば一層楽しめるであろう。「誘われ上手」とは上手い例えで、どのヒロインも主人公に対して性的な興味(と恋愛感情)を持っていて、それを素直には表せない彼女たちの拗らせっぷりがやはり青橋作品らしいなと思う次第である。
















これまでの短編集と同様に『特選小説』誌に掲載された短編作品に手直しを加え、新規書き下ろしを合わせるという作りとなっています。

・第一話の銀次と第五話の隼人は同じ広告代理店の部下と社長
・第二話の友和と第一話の銀次はバレー仲間

各話の主人公やヒロインが知り合いという連作形式なのもこれまでと同じですが、第四話の主人公である徳人の電器屋を各話の主人公が訪ねて来る形にすることで、ストーリーテラー的な存在としているのが本作のポイントです。

・銀次は友和と共にビデオカメラを買いに来る
・博巳は第三話の冒頭でストーブを買い、終わりで加湿器や光学ディスクレコーダーなどを買いに来る
・隼人は愛用しているシェーバーの刃を買いに来る

徳人は他の主人公より年上の設定で商売上手な面倒見の良いオヤジですが、第四話で自ら主役となる舞台は彼が20歳の時の話。「VHS」と「ベータ」の規格争いの話が出てくるようにまさに「昭和」を象徴しており、家電の修理をする時にブラウン管の大型テレビという仕込みもされています。甘美な筆下ろしの記憶とともに、現代の世界では店を訪ねて来る若妻に心を踊らせるという演出もなされています。

もう一つ青橋由高作品と言えばメイドもので、第五話の隼人はメイド愛を拗らせて独身な訳ですが、「芸は身を助く」という言葉の通り新規開拓先がメイド関係の会社で業績を上向かせるきっかけとなっています。まさか親戚の娘が押し掛けて来て、メイド姿で出迎えてくれるとは想定していなかったでしょうけれど…。




年下のヒロインがメイドとして押し掛けるという流れは、かつてこの作品でも描かれていましたね。主人公が家庭教師をしていた時のかつての教え子がメイド娘で、両親と関係が拗れてしまったのを修復させたことで、ヒロインからも相手の親からも両方の信頼を得ているため後は主人公次第だという。既成事実を積み上げて主人公を追い込むまでの掛け合いは、まさに青橋作品らしい持ち味だなと感じたところです。

10月は美少女文庫でも新作を刊行なさっています。




みきりっちさんによる「美少女文庫 レビューブログ」での紹介記事です。

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誘われ上手な五人の人妻(著:青橋由高、フランス書院文庫)

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にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が300冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
一部で関係者(作家さんや編集者さんなど)と思われているようですが、全くの見当違いです。
官能作品に関わる全ての方に感謝しつつ、読み続けていきたいと考えています。

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

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