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弓月誠『おいしい出張 美人課長、女社長、新入社員と』

弓月誠『おいしい出張 美人課長、女社長、新入社員と』
(フランス書院文庫、2018年9月、表紙イラスト:佐藤ヒロシ)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

セクシーランジェリーを扱う会社で働く若手社員の邦彦は、手違いで上司の莉奈と同じ部屋の狭いベッドに二人で眠る羽目になるが、邦彦が好きだった莉奈は巧みに誘惑し初体験をさせてあげる。莉奈との経験をきっかけに男性との交際が無い社長の亜矢子や、人妻でセックスレスの新人社員の有紀とも相次いで関係に陥り…。


【登場人物】

朝倉邦彦
22歳。亜矢子が経営するセクシーランジェリーの会社に入社して2年目になる。莉奈が課長の部署で活躍を期待されているが、まだまだそそっかしい部分も多く見られる。女性経験は無い。

牧村莉奈
25歳の独身。亜矢子の会社で若くして課長に抜擢され、あちこちに出向いては商品の売り込みに当たっている。商品に相応しいほどの3桁に近い豊かなバストと、均整の取れた長い脚が魅力的。純情な邦彦に好意を抱き出張初夜に誘惑してしまう。

岸本亜矢子
39歳。セクシーランジェリーの販売会社の「ラ・ヴィ・ド・ファム」の創業に関わり、現在は社長として自らも商品の売り込みに当たっている。仕事に没頭するあまり、付き合った男性はおらず未体験のまま。

白石有紀
27歳。結婚を機に一度は会社を辞めて専業主婦になったが、夫と1年近く触れ合う機会がなく亜矢子の会社で働くことになる。立場上は先輩に当たる邦彦よりスキルは高く、年上なのもあって主従逆転の感が否めない。


【展開】

自らハンドルを握り邦彦を連れてある地方に出張へ出掛けた莉奈だったが、宿の手配を間違えたらしくシングルルームを予約してしまい、狭いベッドに二人で眠ることとなった。元々邦彦に好意を抱いていただけに、莉奈は初心な邦彦を試すかのように身体を密着させブリーフから勃起を取り出すと、唾液まで使っての手扱きで射精へと導く。そのまま正常位での交合へと導き呆気なく中出しされると、堪え性がないと騎乗位になり三回目の絶頂へとひた走る。

邦彦は莉奈のおしゃぶりが気に入り勤務中に資料室に籠っては奉仕を受けていたが、ある日亜矢子に呼び止められ一緒に出張へ行って欲しいと要請を受ける。そして迎えた出張当日の朝亜矢子は満員電車のなかで痴漢行為を受けるも邦彦に助けられるが、自分がそんなに魅力的かを問うとあからさまなまでの欲情を見せられ、どう対処して良いか困惑を隠せない。気まずい雰囲気を解そうとホテルの部屋でディナーでもと邦彦を誘うと、お酒の力を借りて実は処女だけど…と恥じらいながらも抱いて欲しいとねだる。口内に二度発射してもらうと初めてながらも自ら邦彦に跨がり、朝まで都合五発もの中出しを受けて亜矢子も若手社員の逸物に溺れていってしまう。

莉奈との交際も順調でこの週末は彼女の部屋で過ごし慌ただしく出勤前におしゃぶりしてもらうと、邦彦は社長室に呼び付けられ亜矢子にも奉仕することになる。そんななか新入社員として有紀が配属され邦彦が教育するが、元々のスキルの高さの違いからあっという間に有紀に追い抜かれていく。人妻の有紀は夫との性活が上手くいかず残業を口実にしていたが、ふと翌日のプレゼンに使う大胆な下着を見て穿いてみようと着替えたところを邦彦に見られてしまう。若者が明らかに欲情しているのを知って、有紀は口止めと言いながらも邦彦の精を貪り深夜まで何度も交わるのであった。

突然の業績悪化に亜矢子はアダルトグッズを仕入れ、これを扱うかどうか現場の意見を聞こうと莉奈と邦彦に連絡を取るが捕まらず、その形状を見て社長室で一人遊びを始めてしまう。その頃邦彦は終業後図書室で有紀との逢瀬を済ませていたが、着信があったのを見て直接社長室に向かうと、案の定亜矢子がお楽しみの最中であった。恥ずかしさのあまり亜矢子は雪崩れ込むように邦彦と交わっていたが、莉奈に連絡していたのを失念していて、突然の鉢合わせに動揺を隠せない。薄々邦彦の浮気に気付いていた莉奈だけに相手が社長だからと受け入れるが、節操なしの邦彦の逸物の反応を見て有紀とも付き合っていることを白状させ「お仕置き」を与えてしまう。

生真面目な有紀は邦彦が好きな気持ちと人妻との立場との折り合いが付けられず、業務中に何度もオナニーしては接触を避け続けていたが、退職を決意し社長室に向かうと亜矢子が邦彦を呼び寄せていたらしい。亜矢子は目の前で邦彦を誘惑し有紀の気持ちを試すと、予想していた通り有紀も行為に参加し始める。二人を屈服させるほどに成長した邦彦を見て、亜矢子は密かに考えていたプランを実行に移す時だと、少しだけ寂しそうな表情を浮かべつつセックスに溺れていく。

亜矢子の会社が欧州に支店を出すことになり、その立ち上げメンバーに邦彦を送り出すことを告げられると、亜矢子の提案で四人揃っての視察旅行へとフランスへ向かうことに。三つ星レストランでのディナーの後でホテルに移ると、自社のセクシーランジェリーに身を包んだ亜矢子・莉奈・有紀がしばしの別れを惜しむかのように歓待してくれて、朝まで饗宴が途切れることはなかった。


【レビュー】

弓月誠作品らしさに終始した官能作品

フランス書院文庫で神瀬知巳氏と双璧をなす誘惑作風の雄による新作は、22歳の主人公が勤め先の美女たちと「出張」し、一夜をともにしたことで親密な仲となっていく作品である。しかしヒロインたちと次々に関係を結ぶものの、この作者らしく単なるハーレムエンドにはしないのはいつも通りとも言える。

・25歳で課長の【莉奈】
バストサイズが3桁に届こうかという女上司ではあるが、帯にあるような「ちょっとS」なのとはタイプが違うような気がする。若くして課長となっていてあくまでも上司として常識的な範囲での振る舞いだからである。元より年下の主人公が好きで、うっかりミスで同じ部屋に泊まることになり結ばれていく。

・39歳の社長【亜矢子】
莉奈と関係を結んでいるとは知らず単に社長と社員という関係で出張に出たものの、道中の列車のなかでのハプニングをきっかけとして女の初めてを捧げることに。本作の実質的なメインヒロインで、主人公が莉奈や有紀とも関係を持ったと知り、包容力のあるところを見せる。その一方で主人公の今後を考えてある決断を下すのも彼女である。

・27歳の新人社員【有紀】
3人のなかでは唯一の既婚者で夫と久しく性交渉がなく、夫婦生活の刺激になればと働き始め、立場的には先輩に当たる主人公との過ちを経て退職を決意するが…。

ここ数年の弓月誠作品は淫語が頻繁に飛び交い、オノマトペを多用する文体というスタイルが定着したが、終わり方は相変わらずでちょっと切なさを感じさせるものだった。(仮)タイトルの段階では莉奈と二人きりを示唆するものだったが、仕上がってみればいつもの多人数作品となった。その変更があってか進行がちくはぐで微妙な違和感もあった印象を抱いた次第である。






同じフランス書院文庫の誘惑作風にカテゴライズされる作家さんで、ほぼ同期の神瀬知巳さんと比べることに意味があるかどうかはともかくとして、10年以上もツートップとして君臨し続ける理由としては時代に合わせた自在な味わいの変化を見せて来ているからだと思われます。その前提としては大元の部分は変わってはいないというのもあります。

元々は凌辱作風の作品も応募していて誘惑を勧められてデビューした神瀬さん、(※『特選小説』での青橋由高さんとの対談記事で明らかにされていました)一貫して誘惑作風で「年上」に拘った作品を書かれてきた弓月さんとそのスタンスは違っていて、時代の趨勢によって読者の好みは変わりどちらもフランス書院文庫(の誘惑作風)のトップに立ったことがあります。

そんな状況から既に10年近くが過ぎていますが、神瀬さん・弓月さんに続く世代が形成されているのが本来のあるべき形ではないかと管理人は考えています。デビューする新人さんに期待を寄せるのはそんな理由もありますが、官能大賞の意義が「受賞即デビュー」と変わって来たこともあってか、近年は注目すべき作家さんが少しずつ増えてきたことは非常に喜ばしいことです。

今すぐお二人が書けなくなることは無いかと思いますが、この先5年、10年のスパンで考えると必ずしも安泰とは言えない気がします。(同じ作家さんが書ける作風には自ずと限界があります)例えとして合っているのか分かりませんが、アイドルグループで「いつまでツートップに頼るのか」というのと似ているような状況でしょうか。その為にも売れた作品のリテイクでは無い「何か」を見いだせないと、このまま縮小均衡に陥ってしまうように思えてなりません。お二人もまだまだ老け込む時期ではないですし若い才能と切磋琢磨していただき、より官能小説らしさを追求していって欲しいと願っています。
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tag : 社会人主人公 童貞 女上司 人妻 処女

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が300冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
一部で関係者(作家さんや編集者さんなど)と思われているようですが、全くの見当違いです。
官能作品に関わる全ての方に感謝しつつ、読み続けていきたいと考えています。

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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