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鷹澤フブキ「濡れる女官能小説家」

鷹澤フブキ「濡れる女官能小説家」
(竹書房ラブロマン文庫、2018年5月、表紙イラスト:東克美)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

中堅出版社に勤める編集者の悠生はベテラン女流作家の玲に誘われ会社のトイレで情交に至るが、他にも純文学から転向した瑠海やコスプレ好きな友里の面倒を見ることになり、やや手荒なプレイで著作のヒントを与えるカウンセラーのようになっていく。そんななか玲にライバル意識を持つ売れっ子作家の穂乃香からも誘われ…。


【登場人物】

井上悠生(はるき)
29歳で中堅出版社の「文虎社」で主に文芸作品を取り扱う第三編集部で編集に携わっており、玲など複数の官能作家を担当する。2年前に営業部から転属しやりたい仕事に就けて精力的にこなす。独身で付き合っている女性はいない。

緋山玲
40歳。短大を出て執筆歴20年近くになるベテラン女流作家。肩口より長く伸ばした黒髪に、一重まぶたと鼻筋の通ったくっきりとした顔立ちで、Cカップくらいのバランスの良い身体付き。常に若い才能に怯えており、アドバイスと称して後輩作家にケチを付け、潰すことも厭わないようである。生真面目な会社員の夫がいるがセックスレスで、ゴルフのコーチと不倫関係にある。

皆坂瑠海
25歳。大学生の時に文芸誌で新人賞を取ったものの、その後はパッとせずに官能小説に転向しようとしている。肩先で切り揃えた黒髪にくりくりした目と長い睫毛が愛らしく、また小柄なために年若く見える。しかしバストはDカップ程度と身体に比べると豊かに見えるものの男性経験自体は少なく、それが官能小説を描くのに当たりネックとなっていた。

嵯峨野友里
32歳。元劇団員で知り合った役者の卵と結婚しており、メイドカフェでバイトに励む一方で、他社で2冊官能小説を刊行したことがある。今回悠生が担当する男性作家の紹介もあって会うことになるが、身長150cm程度と小柄で茶色く染めた髪に童顔なために若く見えてしまう。研究熱心でアダルトグッズやコスプレ的な衣装を集めている。

土岐穂乃香
38歳。元ホステスの経歴があるデビュー8年目の売れっ子官能作家。ホステス時代はチヤホヤされる女王様タイプだったようだが、男心を巧みに突いて来る気遣いにもソツがない。独身だが愛猫家でもあり、背中まで伸ばしたブラウンの長い髪に目鼻立ちの整った美貌に、自称Gカップという巨乳が自慢のようである。かつて玲のイビりに遭ったことがあり、きっかけがあれば反撃してやろうと企みを抱いている。


【展開】

仕事中の悠生の元に玲がゲラを持って出版社を訪ねて来たので会議室に通すが、一日中エッチなことを考えていて…とムラムラしているようで、ご褒美が欲しいとセックスを求められる。幸い会議室のあるフロアはひと気がないからと悠生は男子トイレの個室へと誘い、もの欲しそうにしている玲を抱き何度も精を抜かれてしまう。
それから一週間が経ち編集長から瑠海を紹介されるが、豊かなバストに魅とれつつもセックスの経験が少ないせいか、書き上げた作品を読んで直しを要求せざるを得ないほどだった。こうして電話やメールでのやり取りだけでは済まずに彼女の住むマンションの近くの居酒屋で話をするが、酔いの勢いもあってか瑠海から抱いて欲しいと求められ、淫核を攻めて快感を与えると正常位で交わるのであった。

玲と関係を持ってからひと月が経ったがどうやら彼女はスランプに陥ったらしく、短編の締め切りに間に合わなそうと連絡が入り、結局玲の自宅を訪ねることとなった。スタミナドリンクを差し出して来た編集長が示唆するように、作家のために編集者が癒すと考えれば夫のいる女を抱くのも気が軽くなり、一度抜いておこうと口内射精させてもらう。玲の書く官能小説に出て来るヒロインの心情こそ彼女の願望なのだと悠生は意地の悪いことを次々に要求し、合体すると今夜は何度でもイカせてやると決意してセックスに励む。

その翌週担当する稼ぎ頭の作家からの紹介もあり悠生は友里に連絡し自宅を訪ねると、創作のヒントになるかもと作家より聞いたメイド衣装が気になると水を向けてみる。着替えて来た友里はやはり元劇団員なだけにメイドさんになりきったのを見て、悠生はいつしか創作の話よりもご主人様となって思うがままにしたいという願望に駆られ、エッチな命令を次々に要求し始める。押し入れにあった手枷を使いプレイを始めると、今度は自分のぺニスを咥えるように命じ、バイブも駆使して淫裂に刺激を与えると四つん這いにさせて貫く。更にアヌスがひくつくのを見てアナルセックスを思い付き中出ししてしまうが、友里に取っては良いきっかけになったようで作品を書いてみると後日連絡が入るのであった。

数日後今度は穂乃香より連絡があり悠生はまたしても女性の自宅を訪ねることになるが、どうやら穂乃香は玲がスランプに陥っていると知り「オバサン」呼ばわりして近況を探りたい様子。それでも原稿を書き上げた解放感からなのかしどけなく誘惑されては拒むことなど出来ず、穂乃香の豊かなバストにぺニスを挟んでもらい、女性上位のシックスナインで悠生は追い込まれる。更には指での前立腺弄りでドライオーガズムを初体験すると、穂乃香が跨がって来てとことん精を絞り取られてしまう。そしてある日玲の呼び出しを受けた悠生はホテルに向かうが、着物で飾った玲に違和感を覚えつつ最上階のバーラウンジに行くと、そこには穂乃香と玲の愛人がおり女同士のいさかいを始めてしまう…。

悠生は玲が穂乃香の仕返しに遭い落ち込んでいると別の作家から聞かされるが、その一件で女同士のことには関わりを持たないと仕事に没頭し、友里の移籍デビュー作品が好調で次回作に取り掛かっていることを聞いて喜ぶ。一方瑠海は淫核絶頂こそ知ったものの雌イキの感覚はまだ知らず、やはり官能は無理だろうか…と相談を受けて居酒屋で会うことになるが、性交を望んでいるのが見て取るように分かるくらいである。そこで玲や友里にしたように少々手荒なプレイの方が良いと判断し、イラマチオ同然に扱ったり指ピストンで敏感なスポットを刺激したりした末に、中出しセックスをしてしまう。それがきっかけで一皮剥けたようで瑠海も悠生が担当することとなり、お祝いにとバーで祝杯をあげると、こうなった責任は取ってくださいね…と告げられこの後に期待するのであった。


【レビュー】

「気鋭の女流作家が虚実おり混ぜて描く誘惑ロマン長編!」とのあらすじにあるように、本作の作者もまた現役の女流作家でご自身のご経験も踏まえてなのか、「これならありえそう」と思わせるようなエピソードが随所に散りばめられている。

主人公は中堅出版社で働く30歳間近の編集者で官能小説を中心に複数の官能作家を担当しているが、ベテラン作家の【緋山玲】(40歳)がスランプに陥り、身体も心も癒してあげたことをきっかけに次々と女流作家たちと関係を持つ流れとなっている。他に登場するのは純文学で現役女子大生作家として注目を浴びたことがあり官能作家への転身を試みる【皆坂瑠海】(25歳)、他社で刊行していたコスプレ人妻作家の【嵯峨野友里】(32歳)、メディアにも頻繁に露出する売れっ子で独身生活を謳歌する【土岐穂乃香】(38歳)の3人。玲は生真面目な会社員の夫がおり、友里は売れない役者の卵のためにメイド喫茶で働く人妻という設定で、瑠海と穂乃香と主人公は独身である。

玲はベテランであるが故に若い才能に怯え後輩にマウンティングを取る一面があり、主人公もその性格を承知しつつもあくまでも編集者として適度な距離感を置くように振る舞うが、マウンティングされた側の穂乃香としてはそれを忘れるはずもない。終盤で二人の鞘当ても描写されてはいるのだが、あくまでも本作の一節に過ぎず基本的には主人公がカウンセラーも兼ねて瑠海や友里の才能を引き出し、デビューさせていく流れが本筋である。初心な瑠海には身体で快楽を教え込み、作品のために研究熱心な友里にはコスプレ経験を糧にして著作に結び付ける流れとなっている。

玲はその情緒不安定なところから主人公に対してSにもなるし、Mとして開発される描写があるが、穂乃香に関しては彼女の負けん気の強さから女王様的なプレイの方が多めである。現実世界では作家と編集者とでこうした関係があるのか、そこまでは無いのではとは思うが、「ありえるのかもしれない」と思わせるようなさじ加減がほどよい読後感を与える官能作品である。




鷹澤フブキさんの竹書房ラブロマン文庫での既刊二作品はKindleで買い既に読み終わっていますが、レビューが後回しとなってしまっています。いずれご紹介できる機会があればと思いますが…。

本作はそのラブロマン文庫での三作目となりますが、本作は現役の女流官能作家としての持ち味を最も生かしやすく、ある種のリアルさを感じさせますね。とは言え女流作家に癒しを与える編集者って、いたらいたでそれは羨ましいとも思うところです。

実際のところはその業界に身を置く人のみぞ知る訳ですが、本作のなかでは「素人童貞だという作家」や「女流作家同士の鞘当て」など外部にいる者だからこそ興味を引かれるところもありますね。限られた業界で生きる女性も男性も生身の人間ですから、性欲はあるし嫉妬する心もあるはず。そんな人間の性(さが)を垣間見るようでもあります。

余談になりますが女流作家の方がSNSを始め、各メディアに露出される機会が増えて来ていますね。フランス書院文庫ではなかなか表に出て来ないところもあり、実際のところ女流作家がどのくらいいらっしゃるのか分からないですよね。近年で女流作家と明示なさっているのは、如月蓮さんと上条麗南さんだけです。(美少女文庫だとわかつきひかるさんだけですね。)ユニセックスなペンネームの方もいらっしゃいますが、女流作家と出すと読み手が少なからず意識してしまうからかもしれません。(決して偏見はございませんから、そこは念を押しておきます。)

管理人も時々この方は女性ではないかと探りを入れてはいますが、異性の読み手だから分かるところもあるだろうし、逆に同性だからこそのささやかな心情を書きやすいのかなと思っています。
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tag : 社会人主人公 4人以上ヒロイン

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が300冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
一部で関係者(作家さんや編集者さんなど)と思われているようですが、全くの見当違いです。
官能作品に関わる全ての方に感謝しつつ、読み続けていきたいと考えています。

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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