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霜月航「奥さまはS級捜査官」

霜月航「奥さまはS級捜査官」
(フランス書院文庫、2018年2月、表紙イラスト:赤尾真代)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

セレブや有名人を誘拐し売春行為をさせる闇の組織の存在を掴んでいた特命捜査官の真紀だったが、直情的な性格の相棒の遥が組織のアジトへ潜入し捕らわれたと知り自らも向かうことに。組織には長年の因縁のあるハッカーの丸山がおり、遥を人質に取られては抵抗などできるはずもなく次々と屈辱的な行為を強いられる。


【登場人物】

津川真紀
32歳。旅行雑誌の編集者…と夫には伝えているが、実は官邸直属の特命機関の人妻捜査官。表向きは後輩の遥とともに歌舞伎町でボンテージショップを営み、闇組織に関わる情報収集の場としている。かつては外交官で母親も同じように特命捜査官だった影響か正義感が強く、時に危険を顧みずに潜入してしまう。Dカップの豊乳にクールな美貌の持ち主。男性経験は夫のみだが、外交官時代にはレズ経験もある。

成宮遥
25歳。真紀と同様に特命捜査官の地位にあるが、かつて特命機関とは知らずにハッキングして捕まった経緯があり、その知見を真紀に買われて現在に至る。いわゆる天才型でしかも直情的な性格の為に破天荒な行動を取ることも。170㎝近い長身にメリハリの付いたアスリートボディでかつては水泳選手だったが、Fカップまで成長した巨乳が原因らしく成績が伸び悩み引退した。

丸山
闇組織の実行部隊を率いており、年齢不詳でこれと言った外観上の特徴の無い中肉中背の男。セレブや有名人の弱味を握っては脅しアジトへ連れ込むと、上流階級を相手にした売春婦にすべく監禁し調教を仕込んでいる。かつてアイドルの所属事務所へのハッキング事件を起こして真紀が担当したが、それ以来彼女に執着し自分だけのモノにしようとするものの、単純かつ独りよがりな性格が部下たちの反感を招いているとは知る由もない。


【展開】

今日から1週間出張に出た夫を見送った真紀は夜の歌舞伎町を抜けてボンテージショップに着き、遥から有名女優の行方不明事件の話をしていると、ほどなくしてその女優が首輪と貞操具を着けた姿で助けてと飛び込んで来る。彼女の話によるとどうやらこの店の場所が現在追っている闇の組織に知られているようで、真紀たちは間一髪のところで抜け出したものの店は炎上し、女優は遠隔操作でバイブを使われ街中で腰をくねらせながら叫ぶ始末で警官が駆け付けるのが見える。自らの驕りで思わぬ事態を招いたと真紀は悔やみ遥を連れアジトに逃げたものの、女性たちをこんな目に遭わせるなんて許せない、今すぐにでも闇の組織のアジトへ踏み込むべきと遥が訴えるのを叱り付け黙らせるしかなかった。

翌晩真紀の命令に背き単独でアジトに潜入した遥だったが、男たちに奮戦しつつも数で敵うはずもなく拘束されてしまう。そこへ現れた丸山は遥を拘束してラバースーツを剥がせて乳首と陰核の二点責めで絶頂へ導くと、媚薬効果のあるローションを使って更に女体をなぶり、それでも遥が一向に真紀の居所を吐かない為ペニスを挿入する。凌辱されて沸き上がる快感に戸惑うものの、遥は鍛え上げられた体幹を利用し膣をきつく締めて丸山の射精を促すと、フィニッシュを迎えた瞬間に腰を捻って外出しさせて絶対に屈しないという姿勢を見せるのであった。

翌日真紀は遥から送られた組織の機密ファイルを受信し機関に捜査を依頼したものの、一向に連絡が無いのを訝りアジトへ潜入するが、遥が人質に取られバイブで連続絶頂を強いられているのを見て抵抗などできるはずもない。丸山の言われるがままに屈辱的な謝罪をさせられ、特殊警棒を使ってオナニーショーを披露した後にX字に拘束されてしまう。挿入された特製極太バイブからは精液さながらに媚薬ローションを中出しされ、真紀はその効果に高ぶりを抑えられず丸山に対面立位で貫かれて、更に指を使って後ろの処女を奪われてしまう。それでも真紀も快感に完全に溺れぬよう意識を保ち、中出しだけは回避しようと隙を見て丸山の耳たぶへ噛み付き、その痛みで後方に尻餅を付きながらみっともなく射精するのを見届ける。

二人に無様な姿を晒した丸山は仕返しで恥辱を与えようと次の日真紀と遥に露出の多いコスチュームに着替えさせ、別棟にある建物へ連れていき組織の男たちと2vs.2のタッグマッチと称して顧客たちの前で披露させるが、卑劣な男だけにあらかじめ真紀たちに利尿剤を飲ませていた。始めにリングへ上がった遥は善戦し媚薬ローションを奪い取り対戦相手の男を強制射精させるなど調子に乗るが、端から公平など望むべくもない状況で追い込まれた二人は媚薬の効果で敗北してしまい、淫具を装着させられ公開お漏らししてしまう。遠隔バイブで連続絶頂を強いられ喘ぐ二人の捜査官を前に、すっかり興奮した観客たちも他の売春婦たちと乱れた饗宴を繰り広げるのであった。

翌日反撃の機会を伺っていた真紀は、監禁部屋のベッドに並んで寝ていた遥に脱出作戦を告げるが、監視カメラに見られまいと身体を寄せてレズプレイを装って話し合う。前日のマッチプレイで貝合わせを強制されての絶頂を思い出し、演技のつもりが真紀に乳房を揉まれると媚薬の影響か本気になり、シックスナインで激しい喘ぎをあげていく。カメラ越しに見ていて興奮したのか丸山の待つ部屋に呼び出されるが、真紀と遥は打ち合わせ通り甘い声色で迫り誘惑すると、単純なことに人払いして三人でやろうと丸山に提案される。真紀と遥は丸山の部屋の浴室でソープ嬢さながらに奉仕を始め、身体を密着させての手扱きと寸止めを繰り返した果てに丸山を射精させる。勃起薬を乱用しているだけにいつ倒れてもおかしくはないが丸山はしぶとく、二人が騎乗位で跨がっても二度目どころか先に女たちがイってしまい、それでも真紀は気を取り直し正常位で遥を犯していた丸山の尻穴に指を挿入し何度もドライオーガズムへ導く。やっと果てた丸山を休ませぬと今度は真紀が後ろの穴での交わりで誘い三度目に導くと、やっと彼が発作を起こしたかのように悶絶し倒れてしまう。

警備が手薄でアジトの地図を盗み見ていた真紀と遥は部下がやって来るとあっさりと打ちのめし、特命機関へ連絡して人質となっていた女性たちと一味の身柄の確保を要請しアジトから脱出することに成功する。しかし次の日に二人で渋谷での買い物を終えた帰りに、街頭テレビで見た某国の外相秘書の首元に丸山たちが使っていたのと同じ首輪をしているのを見付けると、彼らがこれから官邸で首相と会うのを知って胸騒ぎを覚える。そしてタクシーを拾い官邸へ急行しようとしたが、その途中で丸山の手下たちが運転するバンに追突され、衝撃で意識が朦朧とするなかで二人は別のアジトに連れ込まれる。

真紀と遥にさんざんコケにされ憤る丸山は、二人を全裸にして縄で縛ると意識を取り戻した真紀を吊し上げ、遥に真紀を救いたければとフェラチオを強制し飲精させる。今度は遥の秘所に縄が食い込むようにして吊し上げられ、真紀も同じように口唇奉仕を強いられるが、捜査官としての観察力で部下たちが丸山への不満を募らせていることに気付く。媚薬の効果が切れていないのか真紀は次第に高ぶり始め、丸山に二穴責めにされながらキスを受け入れ遂に中出しされるが、有頂天になった丸山がはしゃぐ様に部下たちが黙って見ているのも限界のようである。俺たちにもヤらせろと彼らの怒りを見た丸山が逃げようとするが、真紀はこの機を逃すまいと遥を解放すると、悪党たちを一網打尽に打ちのめすのであった。


【レビュー】

2018年のフランス書院文庫での新人作家第1号であるが、最近の傾向だと官能大賞の最終選考作品(最終に残らずとも二次までの作品)からの手直しが多いのに対し、本作においては似た作風の選考作品が見当たらない。(デビューが決まり新規に書き始めたという線もあるが)個人的な所見として他社レーベルで活躍中の官能作家の変名か、もしくはその方の作風からオマージュされたフランス書院の作家による別名義の可能性があるとだけ述べさせていただく。

本作の帯には「この奥さま、要注意!!」と書かれているのだが、その宣伝文句の通りメインヒロインは「S級」捜査官で人妻の【真紀】(32)であり、その相棒として独身の【遥】も彼女と同等かそれ以上とも言える見せ場を与えている。「S級」と言うとアダルト映像作品ではしばしば聞かれるフレーズであるが、熟女らしい丸みも備えた真紀とアスリートボディの遥はスタイルもそうだし、捜査官としてもやはりS級の設定としている。(真紀は真面目型、遥は天才型という違いはあれど男性経験は乏しいという点は共通する)作品の概要は特命捜査官である二人が闇の組織をマークしており、ある事件を契機として単身潜入を試みた遥が捕らわれ真紀も後を追うが、遥を人質に取られて真紀も屈辱的な行為を調教者から強いられ…という流れで捜査官ものの官能小説の王道パターンである。

この調教者は真紀とは因縁があり彼女を捕らえてからこれまでの偏執ぶりがあってか、イマイチ調教者らしくないキャラクター設定である。この手の作品での調教者はヒロインの心まで見透かすほど振る舞いはパーフェクト、しかも無尽蔵と言えるほどの精力に人並み外れた一物の持ち主というイメージだが、本作では単純な性格でかなりツメも甘いタイプである。だから作中では「S級」である真紀や遥に手玉に取られることが多いし、更には二人から誘惑され徹底的に搾られる「作戦」まで仕掛けられている。一応は凌辱作品なので調教者が溜飲を下げる場面もあるが、本作を捜査官凌辱ものとして期待すると思わぬ肩透かしに遭うかもしれない。

二人の捜査官を犯すのは調教者一人だけであり、一竿主義が好まれる近年の傾向に沿ったものとも言えるのだが、個人的には媚薬の「効果だけ」で調教するスタイルが単調に思えた。ヒロインたちの精神力はこの調教者よりも遥かに勝っており、凌辱されても立ち上がって斬り捨てる女剣士に置き換えれば、官能時代小説のテイストをも感じさせて興味深いのだが…。 ちょっと残念なのは先述の通り官能面での単調さと、終盤で慌ただしく話が追加された点(作中での「六日目」)、真紀が人妻という設定を活かし切れていない点を踏まえて星3つとしたい。




2018年初の新人さんということでありますが、「人妻捜査官」と聞いてもしかすると…?と思ったのは管理人だけではないかもしれません。















竹書房ラブロマン文庫で刊行されている「女捜査官」ものですが、八神淳一さんと甲斐冬馬さんがよく知られています。御堂乱さんや御前零士さんはフランス書院文庫で刊行されていますが、こうした作風の展開は敵組織に潜入→見付かって凌辱され堕ちていくというお決まりのパターンに違いはありません。もっとも八神さんの新刊では捜査中に緊張状態におかれると、ヒロインがヤりたくなってどうしようもないという「お嬢様は淫乱でございます」タイプへと、幾らかの路線変更を試みていますが…。

本作の調教者である丸山はアイドルオタクでハッキングを繰り返していたのが次第にエスカレートしていき、誘拐・監禁・調教へと手を染めるとは言え元々は小悪党という趣でしかも真紀へ歪んだ恋愛感情を抱いている設定です。端から暴虐的な行為自体するという選択肢などなく、組織から渡された媚薬を使った責めだけなのが単調と言えます。格闘技の面で手強いのは寧ろ手下たちですが、不満はあれど丸山に従っていて凌辱には加わらないので官能的な出番はほぼ無いですし…。真紀と遥の二人の特命捜査官は見た目も最上級な上に、媚薬責めされて性的興奮で達しても中出しだけは上手く避けるし、丸山を連続強制射精させる場面では殆ど誘惑作品のノリでしょという(苦笑)管理人は八神さんが変名で書いたものかなと当初考えていましたが、別の作家の方が八神さんなどの作品のオマージュとして書いた可能性の方が高いのかなと思いました。

丸山を快楽失神させてアジトから脱出した真紀と遥は再び捕らわれますが、監禁凌辱らしい展開はここだけとも言えます。この章では某独裁国と闇の組織との繋がりを匂わせ、一応のフラグは立てたものの最後まで完全に回収されることなく、娯楽性を追求したのであればうやむやにしない方が良かったですね。真紀の母親が生前屈辱的な扱いを受けていたこと、そもそも丸山がいた組織は単なる売春斡旋や媚薬販売だけでなく背後に何かある(だから某国の話を出したのでしょう)など、読んでいてスッキリとしないのは続編を念頭に入れている為でしょうか?気になるところです。官能面ではその娯楽性とのバランスに気を遣ったのか、真紀は人妻で男性経験が少ないが故に丸山の性豪ぶり自体が想定外という記述もあります。但し夫ではない犯罪者に犯され中出しまでされた割には背徳感は薄めで、ここはもう少し官能面に振っても良かったのかな?好みのシチュエーションがあれど、今回は厳しめの評価としたところです。
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tag : デビュー作品 女性主人公 人妻 凌辱作品

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が300冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
一部で関係者(作家さんや編集者さんなど)と思われているようですが、全くの見当違いです。
官能作品に関わる全ての方に感謝しつつ、読み続けていきたいと考えています。

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

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