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桜井真琴「淫情ホテル」

桜井真琴「淫情ホテル」
(二見文庫、2017年2月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)

淫情ホテル (二見文庫)
桜井 真琴
二見書房
2017-02-27




【あらすじ】

大手商社をリストラされた雄一は不動産業を営む叔父の勧めもあり、債務先で北陸にある「天寿ホテル」の支配人として再建を任されることに。自殺願望の客が訪ねるといういわくつきのホテルにやって来た訳ありな女性客を催眠術を使って夢見心地にさせた雄一の活躍もあり、次第にホテルの経営は上向いていくが、ある日乗っ取り屋で知られる不動産屋の社長夫人が現れて立ち退きを迫られることに。


【登場人物】

船戸雄一
42歳の中年男性で勤めていた大手商社からリストラに遭い、妻とも別れている。不動産業を営む叔父に半ば担がれる形で、彼の融資先で北陸にある「天寿ホテル」の支配人にさせられてしまう。無職になった時に暇潰しに催眠術のセミナーを受けたことがあり、筋が良いと誉められてはいるが、本人も半信半疑の様子。

相本美久
28歳。かつて雄一の出向先で部下として働いていたOL。地味ながらも整った美貌で、E~Fカップはありそうな巨乳の持ち主。好きになった男性には妻がおり、尽くすあまりに逃げられてしまう運の無さを嘆き噂を聞いてホテルへ泊まりにやって来た。男性経験はほどほどにある。

中原栞
43歳。90年代にアイドルグループに所属していた歌手で、担当マネージャーである現在の夫に手出しされて以来事務所を独立せざるを得なくなり、長らく不遇に置かれたまま地方を回りながら生計を立てている。同世代の女性に比べるとアンチエイジングにも気を遣ってはいるだけに美貌は衰えていないが、人前で歌うことに自信を失い始めている。

岡田瑞希
21歳。「天寿ホテル」の仲居だが普段はパッチリメイクに巻き髪風のウィッグを被りギャル系そのものの風貌だが、実際は年相応に純粋な性格でショートヘアの似合う女子。かつて付き合っていた男に無理やり処女を奪われてしまい、表面的には意気がってはいるが男性不信で経験が少ないのを隠そうとしている。

藤間冴子
46歳。乗っ取り屋として悪名高い不動産業の「フジマ開発」の社長夫人で、専務の座に就くやり手の熟女。子供はいない。年上の夫との性の営みは少なく、度々東京にあるハプニングバーに出掛けては若い男を漁るのが趣味で、Sな女王様として振る舞うのが好きな様子だが…。

柏木志乃
40代?四年前に夫を亡くして以来「天寿ホテル」の女将として切り盛りしていたが、経営の才覚は無いに等しく次第に傾きつつある。夫は元々教師だったが両親からホテルの経営を引き継ぎ、人柄の良さ(優柔不断さ)もあってか、元教え子など訳ありな従業員たちが寄り付くようになったらしい。おっとりとした天然系の美女だが、打たれ弱くハプニングがあるとすぐに倒れてしまう。


【展開】

リストラされた雄一は叔父の勧められるがままに「天寿ホテル」にたどり着くがどうも評判が良くなさそうで、しかも従業員たちは何か訳ありな雰囲気を漂わせていて経営の立て直しを求められても気乗りできずにいた。その晩亡き主人が使っていた書斎で眠ることになったが、雄一は寝付けずに部屋を出ると女将の志乃の部屋から艶かしげな声が聞こえてきて、ドア越しに聞き耳を立ててしまう。その時フロントの男が女性客が夜中に外へ出ていってしまったと雄一を呼びにやって来て大騒ぎとなるが、当の本人は寒さの為かホテルに引き返してきたようで、雄一の顔を見ると課長と呟きながら倒れ込んでしまう。
翌朝女性客の部屋を訪ねた雄一は彼女がかつての部下だった美久だと知り、かつては地味なだけだったのに美しくなっていることに驚きを隠せない。そしてお互いの境遇を話しているうちに美久がやって来た理由を聞き出そうと考え、雄一が催眠術を掛けてみようと提案すると、彼女はあっさりと暗示に掛かり好きでしたと本音を打ち明けてくる。どうやら美久は男運がないようでそれを嘆いているが、さりとて雄一も今の境遇を考えると素直に応える訳にもいかず、ならば目眩く快楽を与えてあげようと帯を使って後ろ手に縛り付ける。M性で感じやすい体質なのか美久は指だけで達し、命じられるままに苦労しながら四つん這いになると雄一の剛直を受け入れてしまう。

ガイド誌の編集者として再就職した美久の勧めもあってホテルへの客足は次第に上向いて来てはいたが、ある日雄一は女将とともに経理の男から状況は思わしくないと聞かされて思わず大丈夫だからと根拠のない強がりを言ってしまう。気まずいなか二人が去った後瑞希が現れ、二階の貴賓室の客は無銭宿泊じゃないかと報告にやって来たので雄一が部屋を訪ねると、応対したのはかつてアイドルとして活躍していた栞だった。思わずファンの立場で栞と話しオナペットだったとまで言ってしまうが、彼女は申し訳なさそうにもう歌えないかもしれないと悩みを打ち明ける。催眠術で何とかできないかと雄一が提案するとどうやら上手くいったようで、栞はファンのいやらしい視線で濡れてしまうと告白し、人妻だから抱かれる訳にはいかないけど口でならと奉仕を申し出る。そこへ瑞希も様子を窺いに部屋にやって来るが、情事の邪魔をされたくないと二人は奥の間に逃げ込みシックスナインに浸ると、瑞希に見付かっても行為を止めようとはせずに果てるまで続けてしまう。
その晩日付も変わった頃栞は夫から興行をドタキャンされて赤字になったしこれからホテルを出ようと言われ、情けなさも感じながらも身支度を整えて部屋を出る。しかしその先にはカラオケバーがあり、運の悪いことに従業員たちの酒宴の真っ最中で栞だとバレてしまい、カラオケで歌わせられる羽目になる。暗示が効いたのか一曲歌えたことを喜ぶ栞は、雄一にお礼が言いたいと居場所を聞くと夫を置いて浴場に駆け込む。雄一にお礼を言う間もなく口付けを交わすと自ら「する?」と誘うが、そこへ夫が後を追って来たので岩陰に隠れると、夫と話をしながらも雄一に貫かれ性悦を味わうのであった。

タレントとして復活を遂げた栞の宣伝もありホテルの月間収支が黒字に転じたのを喜ぶ志乃を見て、雄一は思わず催眠術を使ってみたいと提案し愛の告白をするが、どうやら不発に終わったらしく志乃は怒って部屋を出ていってしまう。ある日団体客を受け入れたもののどうも瑞希の様子がおかしいと従業員たちから報告を受け、雄一はその晩に彼女の部屋を訪ねると、かねてからモーションを掛けていた瑞希からエッチしてと求められる。すかさず催眠術を掛けるとどうやら団体客の中に瑞希の元彼がいて、力ずくでモノにされた嫌な記憶がある様子。セックスに不馴れなのが分かると雄一は優しく全身を愛撫してから瑞希の秘所が濡れているのを確認し、初めてだという口唇奉仕を受けた後に身体を重ね快楽を教えていく。

数日後突然冴子が「天寿ホテル」へ乗り込み、今日から「フジマ開発」の所有物件になったと聞かされた雄一は叔父に連絡すると、資金繰りに困りやむなく債権を譲渡したと知る。冴子は3月末までに立ち退くよう一方的に告げて帰るが、従業員たちは当然納得する訳が無く、元ホストの板長から彼女がハプニングバーの常連だと聞いて弱味を握ってやろうと潜入することに。そこで雄一は冴子が若い男にアナル舐め手扱きをして周りの客を挑発し、馬乗りになってセックスしているのを見てしまい、自分も冴子に誘われたものの勢いに圧倒され腰がひけてしまう。そこで雄一は美久に連絡を取ると奇遇なことに冴子と共にゴルフをする機会があると聞かされ直接対峙する機会を得るが、冴子はバーでの一夜を覚えていただけでなく優位に立っていることを誇示するかのように木陰に誘い私を濡らしてみてと挑発される。雄一の愛撫では秘所が潤うことも無く、頼みの催眠術も全く効く気配が無い。それを嘲笑うかのように冴子に主導権を奪われるとペニスを露わにされ、足扱きで焦らされた後まるで犯されるように交わりを求められてしまう。

冴子に敗北してから二週間が経ち万策が尽きた中で、まだ立ち退き期限まで一日あるにも関わらず、「フジマ開発」の手先のヤクザ連中がホテルに踏み込み力ずくで追い出しに掛かろうとする。ものものしい雰囲気の中で雄一はまだ1日あるから待てと威圧すると「フジマ開発」へ出向き、冴子が現れるまで待ち伏せしてもう一度話をさせて欲しいと告げると、翌晩にパーティーがあるからと高級ホテルの一室に来るように誘われる。端からヤる気の満々の冴子に対して、雄一は今晩だけ自分の好きなようにさせて欲しいと言うと、着物の帯を使って彼女の手足の自由を奪いタオルで目隠しをしてしまう。縛られたままのエッチで激しく感じてしまった冴子から雄一たちが引き続き経営して良いと約束を取り付け、雄一がホテルに戻り祝杯をあげた翌日に温泉に入っていると、女将の志乃が背中を流しますとばかりにやって来る。彼女の態度を見て自分から攻めるべきだと悟った雄一は身体を抱き寄せ唇を奪うと、他人に見られるかもしれない場所で情交に及ぶ。催眠術に掛かったのかしらと呟く志乃に対し、雄一はきっと最初からだと微笑むのであった。


【レビュー】

あらすじの通り本作の主人公は40代になってリストラの憂き目に遭い妻とも別れた中年男性であり、不動産業を営む叔父に勧められるがままに支配人として北陸の寂れたホテルの建て直しを任されることになる。「官能エンターテインメント」と銘打っているだけあって主人公が暇潰しに教わった催眠術の知識を使い、訳ありな女性客たちを癒していくなかでエッチな展開になっていくのはお約束とも言えるだろう。

序盤はあらぬ風評によって訳ありな客しか泊まらなくなったホテルの客として主人公の元部下で男運の無さを嘆くOLや、人前に立って歌うのが不安になった人妻の元アイドルが訪ねて来る。ここは主人公が優位な展開で女性たちに癒しを与える流れであり、彼女たちが再起を誓って帰っていきその口コミもあってホテルの評判も上向きとなっていく。訳ありなのはホテルの従業員たちも負けておらず、天然で打たれ弱い未亡人女将や風貌の良くないフロントの男やギャル系丸出しの仲居(彼女とのエッチな展開もある)、元ホストの板前など個々のキャラクターが立っていて時折挟まれる彼らの話も面白いと思う。

中盤からはエンターテイメント性が強くなり、経済的に苦境に陥った叔父がホテルの債権を乗っ取りの悪評のある大手業者に売ってしまったことから、主人公が社長夫人とエッチな展開含みで対峙していく流れとなっていく。この頃には主人公の催眠術自体決して万能なものではなく、優位に立ってばかりということは無くなるのである。追い詰められた主人公の逆転劇はこの手の作品ではお約束のようなもので、Sな社長夫人が主人公によって性悦を味わせられる展開には溜飲が下がることであろう。その後の「ご褒美」もあって官能面とのバランスも良いと思う。

作者は女性向け官能小説を中心に活躍しているが本作は男性向けというのもあって、心理描写は主人公寄りなものが多くなっている。ヒロイン側の気持ちも描かれていても良かったのかなとは思うが、350頁に渡るボリュームなだけに十分な読み応えであり個人的には大満足な作品であったので高評価としたい。

tag : 社会人主人公

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が200冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
因みに一部で広報担当だとか、出版関係だとか思われているようですが、ただの会社員ですのであしからず(苦笑)

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

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