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巽飛呂彦「密会 未亡人社員・三十五歳」

巽飛呂彦「密会 未亡人社員・三十五歳」
(フランス書院文庫、2003年9月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)

【あらすじ】

40代男の敏行はある日仕事の帰りに酔客にぶつかられ諍いを起こしそうになるが、その場を丸く収めてくれた綺麗なホステスが職場では冴えないOLの佳奈子だと知り、普段とは違う魅力に興味を持ち遂には肉体関係に陥る。やがて彼女の魔性に溺れていき家庭も会社も棄てた敏行だが、二人だけの世界で淫らな毎日を送るように。

【登場人物】

大出敏行
48歳。本社から事実上の左遷という形で、子会社の中堅精密機械メーカーの経理部長に就いている。3歳下の妻との間に今年短大に進学したひとり娘がいる。不倫なんて全く縁もないと思っていたが、佳奈子の魅力に惹かれやがて全てを失うことに。

林佳奈子
35歳。仕事が出来るやり手のOLだが、他人と関わりを持たずに化粧っ気もなく、敢えてEカップという性的魅力を隠しているようである。20代の時に付き合った男が極道の筋の者で一時期は結婚していたが、死別してからは関わりを絶っている。

【展開】

本社での会議と飲み会を終えて帰宅しようとしていた敏行は道端で酔客にぶつかられて口論になるが、その場にいたホステスの女性のとりなしで丸く収めてくれる。そしてこのホステスが実は職場では地味で冴えない佳奈子でアルバイトをしていると知り、敏行はその変貌ぶりに興味を抱く。翌週佳奈子からデートに誘われ脈ありとホテルを予約するが、彼女も全く抵抗する事もなく、ただ灯りは付けないで欲しいと頼まれ久し振りの情交に溺れるのであった。

こうして週一で佳奈子と密会を繰り返すようになったが、ある晩ホテルの部屋で一戦交えた後で佳奈子が翌日に入る前にうっかり照明を点けてしまう。左腕の鳳凰の入れ墨を見られ別れを切り出した佳奈子に対し事情だけでもと敏行が問うと、かつて極道の男の妻であったこと、脱走に失敗して薬漬けにされていたことなど壮絶な過去を打ち明けられる。自分は佳奈子を振った他の男と違うと抱き寄せると、佳奈子もそれに応じ二人の結び付きは深まっていく。

次第に密会が佳奈子の部屋で週二回と増え、更に週末は帰宅もせず入り浸りになった敏行だが、ある日華やかな着物姿で出迎えられ彼女の新たな一面に魅せられる。その内に佳奈子が職場でもおめかしをして親密な様子を隠さずにいると、あっという間に二人が不倫関係だと噂が立つ。そんな噂にも気に掛けず敏行は佳奈子にナース服を着せてコスプレをさせたり、買ってきた玩具を使って後ろの穴を開発したりと益々彼女に溺れていく。

数日後敏行は仲人でもある本社の専務に呼び出され臆する事なく佳奈子との関係を認めると、もう自由になりたいと開き直って立ち去る。そして妻の呼び出しを受けて離婚届に判を押すと、自宅も家族も全てを失ったものの佳奈子だけいれば良いと部屋を写真館のように改造し、着物姿で縛られ欲情した彼女をデジカメで撮影し始める。

ある時はデパートで淫具を着けたままスイッチを入れて悶えさせトイレで交わったり、縄で秘所を括ったまま散歩に連れ出して歩道橋の上で放尿させたりするなど敏行は露出プレイに目覚めて佳奈子に恥辱を与えるが、佳奈子は敏行が撮影した写真が雑誌に投稿され自分の淫らな姿を見て、正体に気付かれるのは嫌だと言いつつも頬を赤らめる。そして自分は敏行のモノだという証しとして、無毛にした下腹部に新たな入れ墨を彫ってもらい、彼の名前が刻まれた事に悦びを覚えるのであった。

【レビュー】

2000年から2005年までは作者が試行錯誤を繰り返し、「緊縛」「(ソフトな)露出プレイ」などこれまでの凌辱作品で培ってきた要素を盛り込んだ形となり、必ずしも誘惑一辺倒ではない部分が垣間見える。主人公の年齢設定が比較的若めな作者にしては本作では40代後半としている点、1対1の形で展開していく点は意外でもあり、興味深いものがある。

ヒロインの未亡人の生い立ちを見ると壮絶なものを窺わせるのだが、良くも悪くも巽飛呂彦作品でありがちの可愛らしい熟女像にそっているので、作中で悲壮感や不倫に走る上での重苦しさを殆ど感じさせない。但し背徳感も無いに等しい為、別に妻子ある男と未亡人でなくても良いだろうというのも否めないが、倒錯的な要素はふんだんに用いられているので淫猥さは保っている。

主人公が全てを捨てて未亡人に走るタイミングがやや早く、残った章は何とか埋めようとシチュエーションを変えるもののコスプレと露出プレイに違いはなく、欲張りすぎた感じもしなくはない。1対1の作風だと何処に山場を持っていくか設定に気を使いそうだし、例えば妻とも性生活があって未亡人と比べてどうなのかという部分をもっと前面に押し出したら印象は違ったかなと思う次第である。
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tag : 社会人主人公 単独ヒロイン

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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が200冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
因みに一部で広報担当だとか、出版関係だとか思われているようですが、ただの会社員ですのであしからず(苦笑)

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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