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宇治薫「かんにんして 京母娘と家庭教師」

宇治薫「かんにんして 京母娘と家庭教師」(フランス書院文庫、2010年6月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

【あらすじ】

教え子である由香の母親の蓉子と禁断の関係にある家庭教師の啓介だが、ある日玄関で抱擁する姿を由香に見られてしまう。蓉子に唆され由香とも関係を結ぶ事となるが、蓉子が思った以上に嫉妬に駆られ困惑する事に。

【登場人物】

田村啓介
20代の大学生。由香の家庭教師で中学生の時から勉強を教えている。蓉子の誘惑を受けて由香に隠れて逢瀬を重ねていたが、ある日玄関先で抱き合っている所を由香に見られてしまう。

野崎蓉子
36歳。12年前に老舗の仏具販売会社の社長の後妻として嫁いでいるが、現在は夫が帰宅する事が少なくセックスレスの状態。娘の家庭教師の啓介に関心を抱き半年前から男女の関係を続けているが、経済的に恵まれた結婚生活を失うつもりは無い様子。

野崎由香
16歳。高校に進学したばかり。産みの母親は4歳の時に病死している。父親や継母に当たる蓉子との関係は良好で、啓介に対しては中学生の時から微かな恋心を抱いている。

【展開】

由香の帰りが遅くなるのを承知した上で野崎家にやって来た啓介は朝から居間で口移しに蓉子に酒を飲ませた後、2階の和室へ抱っこして連れ込むと前戯だけで4度も彼女を絶頂に導く。
啓介はすっかり昂った彼女の熟れた身体を抱き前後の穴に1発ずつ射精した後で別れ際に玄関で熱い接吻を交わすが、そこへ予定より早く帰宅した由香に目撃され彼女の機嫌を損ねてしまう。

由香の口封じをしようと蓉子は娘が啓介にずっと好意を抱いていた事を告げ、あからさまに最後までいっても構わないと啓介を唆す。由香の部屋に入った啓介は言葉巧みに説得し、秘所への指使いだけで失神させてしまう。
ドア越しに娘の様子を窺っていた蓉子に気付いていた啓介は居間に戻ると、彼女のおねだりを受け再戦に挑むものの早々と気を遣られてしまい1度だけに留めるのだった。

翌日家庭教師で訪れた啓介はしっかりと身を清めて待っていた由香の秘所を露わにすると、人指し指を処女孔の奥深くまで挿し込みながら芽吹いた突起を露出させて口唇愛撫し絶頂に導く。
そこへ聞き耳を立てていた蓉子から夕飯の呼び出しを受けた啓介だが、食事の後にトイレへ向かうと蓉子からキスをせがまれ抱擁しその場を収めた後、由香と2人きりでレッスンを再開しシックスナインを教えるが、先に彼女が果ててしまう。

その晩遅く蓉子から連絡が入り、執拗に娘との蜜戯を問い詰める様子に辟易しながらも土曜日の朝に再び野崎家を訪れた啓介。午後には由香から処女を捧げられると分かっていながらも、彼女のベッドで蓉子と一戦交える事を思い付き腸肛に精を放つ。
昼食を取った後で由香の部屋で処女喪失の前に指や口で啓介に絶頂に導かれた由香だが、ペニスを受け入れる前に母親との関係に気付いていたと何も知らない生娘ではないと打ち明ける。
ドア越しに聞き耳を立てる蓉子を意識しながら由香の処女穴に挿入を果たした啓介だが、そこへ部屋のドアがそっと開くと、取り憑かれたような妖しい目付きの蓉子が部屋に入ってくるのだった…。

【レビュー】

デビュー作は調教要素を内包した誘惑路線、2作目では昭和の雰囲気を漂わせた凌辱路線と作品を重ねて来た作者の3作目である。
官能大賞受賞作家でも例外では無く、短期間に作風を転換しているのは結果を求めての誘惑路線回帰かと推察するが、残念ながら本名義での出版は現状これで途切れてしまっている。

作中では主人公が教え子の由香の母親である蓉子と既に深い関係にある所から始まり、既に彼女を手玉に取り何度も絶頂に導くまでに熟達している。
そうした意味で彼女に「かんにんして」と言わせる程の2人の爛れた情交描写に深みを感じる事は出来るのは良かったと思う。
ただ個人的には主人公に由香との情交を勧めるというのは娘の気持ちを汲んでというよりは、夫に不倫関係を知られたくないという利己的な側面の方が強く出過ぎた感が否めず、そう見ると蓉子の言動はやや重さを感じてしまう。

一方の由香に取っては主人公のテクニックにより散々前戯で焦らされ、こちらも由香に「かんにんして」と言わせる位の執拗な描写には良い意味で読み手にも上手く焦燥感を与えられたとは思う。
但し終盤で漸く処女喪失に至るものの、「憑かれた」様子の蓉子が部屋に乱入してはちょっと興醒めの感も否めず、敢えてその先を見せない書き方は今も昔もフランス書院らしいが、本作では逆効果だったかもしれない。

既にフランス書院文庫の誘惑路線が変化している中、京女の奥ゆかしさ、情念の深さに拘るのには少し遅過ぎた感もするし、
これを無くしては作者のアイデンティティーが失われてしまう。そんなジレンマが作品に現れてしまったような気がする。

【トラックバック】

DSKさんのレビューブログにおいて、本作をご紹介なさっています。

かんにんして-京母娘と家庭教師(著:宇治薫、フランス書院文庫)
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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が200冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
因みに一部で広報担当だとか、出版関係だとか思われているようですが、ただの会社員ですのであしからず(苦笑)

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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