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巽飛呂彦「危険な美獣【先輩の彼女】」

巽飛呂彦「危険な美獣【先輩の彼女】」(フランス書院文庫、2012年9月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

【あらすじ】

担任の藍子から受験対策にと自ら顧問を務める美術部を見学するように告げられた宥が美術室で目にしたのは、キスをしながら抱き合う部員の由香里と伸一だった。幼馴染みの穂香と共に入部した彼はある日、由香里から誘惑され関係を結んでしまう。

【登場人物】

北久保宥
17歳の高校2年生。特に部活に所属していなかったが、内申書の点数を上げる為担任の藍子より自らが顧問を務める美術部へ入部するよう勧められる。絵を描く事が得意。童貞。

天知由香里
18歳の高校3年生。美術部の副部長で伸一と付き合っている。好きという感情が恋愛プロセスを無視して、すぐにエッチをしたがる「多淫症」の持ち主らしい。やや大人びた風貌で、スレンダーで綺麗な少女。Cカップ。

里中穂香
宥と同い年で隣に住む幼馴染みの少女。ショートカットで丸顔の顔立ちに、Dカップと意外にプロポーションが良い。クラス委員長で忙しいが、由香里に心を奪われる宥を見かねて美術部に入部する。処女。

栗山藍子
35歳。宥の担任で保健担当兼美術部顧問の教師。セミロングの髪型で過剰に思える程大人の魅力を振り撒く美貌に、Hカップと豊かなバストの持ち主。由香里と同様に病的な程のセックス好き。

真島伸一
由香里と同級生で美術部部長を務め、外見は絵を描く事が好きで面倒見の良い優しげな少年だが、実は寝盗られや覗きが趣味と一癖有る。美術部は実質恋人の由香里との2人で活動している。

【展開】

藍子に言われるまま放課後に美術室に向かった宥は由香里と伸一が抱き合う場面に遭遇して彼女と目が合い逃げますが、何ヵ月か経ったある日彼女の誘いで穂香と共に入部すると、早速由香里から誘惑され断れずに関係を結んでしまいます。
由香里と度々関係する一方でそれに気付いた穂香と口喧嘩しているのを見た藍子は宥を誘い、薬を盛って跨がり強引に夏休みの合宿に参加させる事となります。
合宿では由香里から宥との仲直りの機会だと遠回しに説得され参加した穂香から告白されて結ばれますが、何故かその晩に雑魚寝状態の部屋で由香里と交わったり、翌朝には藍子に誘われ穂香と3人で露天風呂でセックスに及びます。
自分が寝ている傍で由香里を抱いたり、露天風呂の3Pに及ぶ宥の痴態を覗いて満足する伸一に苦い顔をする由香里ですが、彼から特殊な性癖を持つ自分から離れる事は出来ないだろうと返されると皮肉な笑みを浮かべます。
翌朝伸一が穂香を連れ出した間に宥と2人きりになった彼女は突如別れを切り出され青姦に至りますが、夏休みを終えた宥は部活に参加する事を止めてしまいこれが最後の交わりとなります。

【レビュー】

【先輩の彼女】という言葉の持つ響きに背徳感を抱くもので、作中では主人公が先輩や幼馴染みの目を盗んで由香里と頻繁に関係を持ちます。
ここで鍵になるのは先輩の伸一の存在で、恋人の由香里を主人公に抱かせたり、或いは露天風呂で藍子や穂香と3Pに及ぶのを見て喜んでいます。
寝取り(寝盗られ)を題材に書きたかったのでしょうけど、本作では主人公を除く他の登場人物の心理が殆ど窺えないのが気になります。
敢えてそうした節が感じられるも、初めから全てが伸一や由香里の描いたシナリオ通りに踊らされている気がして何だか不気味さを抱きました。

由香里や藍子は「多淫症」なる症状でセックスに至る動機付けにしていますが、ここは主人公と何かしらのエピソードが有って結ばれてもらいたい所で、特に藍子は熟女要員との印象が拭えず由香里や穂香の情交場面が割を食ったようで蛇足にも感じられます。

穂香は巽作品の典型的な幼馴染みポジションのヒロインで他の登場人物に押されつつも初体験の描写はまあまあ良かったですが、欲を言えばエッチの有る無しに関わらず由香里に正面から対抗する場面が有ればと思いました。

何処かライトノベルを意識してそれなりに美術部の生徒たちの日常を描いていますが肝心の情交場面に至るまでがスムーズでは無く、合間をただ繋いだだけの印象が拭えませんでした。
折角の寝盗られなら伸一と由香里の交合場面を宥に覗かせたり、逆に穂香が宥と由香里の場面を見てしまって3Pに参戦したりと、人物同士の嫉妬をより煽っても良かったのかなと思いました。
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プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が200冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
因みに一部で広報担当だとか、出版関係だとか思われているようですが、ただの会社員ですのであしからず(苦笑)

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

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