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桜井真琴「人妻たちに、お仕置きを」

桜井真琴「人妻たちに、お仕置きを」
(二見文庫、2017年9月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

悪い連中に騙され自殺した父の債務を支払うために自らの命を断つ決意を固めた歩だが、せめて死ぬ前に関わった連中の女たちに復讐してからだと人妻たちを別荘に監禁し凌辱してしまう。しかし妻や娘が行方不明になっているにも関わらず、連中が騒ぎ立てる様子がない。その理由を知った歩や人妻たちは、彼らに一泡吹かせようと一計を案じることに。


【登場人物】

石井歩
24歳。父親は会社経営者だったが人格者とは言えず、顧問弁護士の立花と金融業を営む秋川、愛人だった麗香の三人に金を騙し取られた末に自殺している。馬鹿正直な性格の歩は相続を放棄せず、せめて三人に復讐を果たしてから死んで保険金で借金を返済しようと考えている。女性経験はあるらしい。

立花真理子
42歳。歩の幼馴染みの母親で、石井の顧問弁護士だった立花の妻である。高校に通っていた時から歩が女性と意識してきており、夫の立花に復讐を果たす為に誘拐され凌辱を受けてしまうが…。若々しく張りのあるFカップバストの熟れた身体付き。家柄は下町で裕福とは言えず、絶えず立花の一族には卑下され続けられている。

長谷川理沙
27歳。旧姓・秋川。愛知県で金融業を営む父親がおり、石井の死に絡んでいる人物の一人である。かつて教員だった理沙が教員実習に訪れたのが歩の通う高校で、僅か二週間とは言え面談に来たこともあり真理子の顔も知っている。夫は典型的なDV男だが、これまでその手の男としか付き合っていなかった理沙は全く違和感を覚えていなかった。

佐々木麗香
32歳。旧姓・二宮。千葉県で工務店を営む佐々木の後妻として籍を入れたが、明らかな財産狙いの結婚である。かつて銀行員時代に石井の愛人だったが、立花に借金苦の弱味に付け込まれ悪事の片棒を担がされる。歩とは当時から顔見知りで、再会してからも終始自分がリードしようとする態度を崩さない。


【展開】

歩は真理子が夫の立花が出勤したのを見送りに出たタイミングを計り声を掛けると、父の所有していた別荘の地下室へ連れ去り監禁してしまう。真理子を拘束し憧れだったFカップの乳房を執拗に愛撫し、力ずくで挿入すると中出ししてしまうが、妊娠してしまうことに気付いたのか指で白濁を掻き出そうとする。嫌がる真理子から自分で綺麗にすると告げられ、歩はそれならばオナニーしてみせてと浴室に連れていき、絶頂に達したのを見るや対面座位にして交わり再び中出しする。

次に理沙を標的にした歩は宅配業者を装い、スタンガンを使って抵抗を抑えダンボール箱に押し込めると別荘に運び真理子と対面させる。僅か2週間の教育実習だったにも拘わらず、理沙は歩や真理子を覚えていたようで、それでも必死に抵抗を見せたことで鎖で手を縛られ吊し上げられた体勢にさせられる。歩は理沙の秘所に媚薬を塗り込み、自らバイブを挿入してと言わせると、真理子の目の前で立ちバックにして凌辱してしまう。行為を終えて身体を横たわらせた理沙は資産家の父がいるはずの歩が何故自分たちを監禁したのか、真理子の夫がかつて石井の顧問弁護士だったことを聞いても疑問は氷解することなく、疲れに身を委ね眠ってしまう。

その晩歩は立花家に向かい真理子の凌辱写真をポストに投函したが、あまりに静かな様子に疑問を抱き屋敷の庭に侵入すると、立花が父親と話をしているのが聞こえスマホで録音を始める。何と父子は真理子が家出したものと思い込み、しかも立花は浮気をしていて真理子を面白味のない女だと吐き捨てる始末で、複雑な思いを抱きながら麗香の誘拐計画を実行するため千葉に向かう。再会した麗香は相変わらず歩を小馬鹿にした様子でわざわざ防犯カメラの電源まで落としてしまい、ストレートにメチャクチャにしてやりたいと歩が告げたところで彼が本気なんだと気付くが時既に遅しで、吊るされた姿勢でアナルを犯された後に別荘に連れて来られる。
麗香は二人の女が立花の妻と秋川の娘と知って歩の復讐の意図に気付き、更に彼が録音した立花たちの会話や仕掛けて来たカメラでの映像で秋川たちのやくざ紛いな裏の顔を知って、三人が憔悴した様子なのを見るや彼らに相応しい復讐をしてやろうと決意する。秋川が脱税して金庫に隠している現金を持ち出し、四人で海外に高飛びしようと提案するが、勿論お金の殆どは自分がせしめるつもりでいた…。

三人の人妻たちを誘拐して悪い連中に復讐しようとした歩は彼女たちが思った以上に大事に扱われていないと知り、企みを実行に移す前に汚した真理子を浴室に連れていく。生真面目な歩は何と息子にだけは凌辱することを相談していたようで、承諾した息子に呆れつつも最早立花家に思い残すことはない。浴室で泡姫のように青年の身体に奉仕し、騎乗位で中出しを受け入れてしまう。歩は理沙や麗香にも同じように身体を洗う口実でエッチなことをしたが、この期に及んで理沙が離婚するなんてと躊躇を見せたため、その言動を見た麗香はDV夫に依存する女だから徹底的に汚してやりなさいと歩をけしかける。常識に絡め取られていた理沙は二人の人妻の前でアナルセックスをしてしまうと、やっと吹っ切れたようで離婚して家を出ることに応じるのであった。

その晩名古屋に向かった歩と理沙は派手な立ち回りを演じた末にまんまと秋川の金庫から億に渡る金を持ち出すと、翌日東京に戻り麗香の知り合いのいる銀行に向かい現金を預ける。しかし三人で銀行を出たところで秋川の手下たちに捕まりSUVに押し込まれるが、事前にこうなることを察知し別行動にさせていた真理子が警察に通報していたので職質の隙を見て逃げ出し事なきを得る。追っ手は成田まで迫るが幸いファーストクラスを予約していた一行に触れることなど出来ない。
こうして離陸するまでの待ち時間に上客用の待合室のトイレで麗香と鉢合わせた歩は情熱的に迫られ慌ただしくエッチを果たすが、何と麗香は一つやり残したことがあると言い送金する口座を開設するには銀行の店舗に自分が向かわないといけないのだと深刻な表情を浮かべる。秋川一味に捕まるかもしれないと覚悟の上での情交だったのだと歩は知り、二人の人妻たちとともに麗香の姿が見えなくなるまで手を振り続けるのであった。


【レビュー】

作者の桜井真琴氏は官能小説からTL系の作品まで幅広く手掛けており、二見文庫(官能シリーズ)での刊行は本作が二作品目である。「官能エンターテインメント」と帯に記載されているように、幅広いジャンルを書いてきた経験がものを言うところで、官能小説としても普通のサスペンス小説としてもバランスの取れた作品である。本作の概要は作品あらすじが全てを物語っており、知っていて読むのも良しだし、知らない方がより楽しめるのかなと思う。そのくらい公式のあらすじが本作の趣旨にマッチした書き方なのだとも言えるのだが…、端的に申し上げるならばほぼネタバレである。

会社を経営していた主人公の父親は悪い連中に騙された挙げ句に借金を残して他界しており、その債務を支払うために自らの命と引き換えに関係者たちに復讐を果たすべく、三人の人妻を別荘に監禁して凌辱してしまう。しかし彼女たちが行方をくらましたにも関わらず、一向に連中に動きが見られない。何故か…。というのが公式あらすじに沿った形での本作の概要である。まずは主人公の【歩】はあらすじに従うと悪い男になるのだが実は几帳面な優男で、様々な理由で人妻たちに熱い想いを抱いていたこともあって、きっかけこそ凌辱だがことの真相が明らかになるに連れて人妻たちも心を許すようになる。

人妻たちは友人の母親【真理子】、教育実習生だった【理沙】、父の愛人だった【麗香】の三人で、真理子の夫と理沙の父そして麗香自身が父を騙した悪い連中である。真理子や理沙は当然のことながら主人公に逆恨みされる理由は知らずに犯されてしまうが、ここまでが官能小説で言えば凌辱のパートとなる。しかし麗香には同じ手法が通じる訳ではなく、ズル賢い性格もあって彼女がシナリオを描く形で話がライトな方向へと転換していく。「エンターテインメント」なのだから結末も決して暗いはずもなく、爽快な読後感を得られることは間違いない。そして「官能」と付くからには性交描写も濃厚で、エロもストーリーも読みたいという読者にお勧めである。


愛好家Sさんのブログでも本作をご紹介なさっています。
さ4-2『人妻たちに、お仕置きを』桜井真琴、二見書房/二見文庫、2017/09 発売●あらすじ友人の母を監禁して凌辱し、そればかりか高校時代の教育実習生だった人妻教師や父の元愛人だった人妻も同じ目に遭わせる青年。気の弱かった彼がなぜ犯行に及んだのか、そして、人妻たちが襲われた理由とは…。●登場人物【石井歩】24歳。おとなしくて気弱な優しい青年。【立花真理子(まりこ)】42歳。身長は十七歳当時の歩より頭ひとつ分くらい...
さ4-2『人妻たちに、お仕置きを』

tag : 社会人主人公 熟女(40代) 人妻 凌辱作品 誘惑作品

葉月奏太「誘惑ショッピングモール」

葉月奏太「誘惑ショッピングモール」
(竹書房文庫、2017年5月、表紙イラスト:大柴宗平)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)





【あらすじ】

地方から上京した大学生の幸太は彼女が欲しいと一念発起し、出逢いを求めてショッピングモールのたこ焼き屋でバイトを始めたばかり。早くも向かいのアパレルショップの店員である麻衣に一目惚れするが、そんな青年に性的な興味を抱いた熟妻の苑美に誘われ、未亡人の景子に求められ、若妻の姫香とまで関係を持ってしまう。そして麻衣に告白する機会が訪れたのだが…。


【登場人物】

吉成幸太
20歳の大学2年生で進学を機に東京都西部の比較的大きな街で暮らしているが、引っ越しのアルバイトで女性との出逢いを果たせずにこの夏休みからはショッピングモールのフードコートにあるたこ焼き屋で働き始めている。年上のお姉さんに憧れ筆下ろしをしてもらうのが夢だが、今のところその機会はなさそうである。童貞。

木谷麻衣
26歳でモール内のアパレルショップで売り子として働く綺麗なお姉さん。セミロングの黒髪にスラッとした体型で一見清楚そうに見えるのだが、独身生活を謳歌したいと敢えて恋人を作らずにセックスフレンドと倒錯的なエッチを求めている。幸太が一目惚れしてしまうが、勿論そんな一面は知る由もなく…。

杉下姫香
23歳の若妻でドーナツショップで働く溌剌とした明るい女性。童顔に巨乳というアンバランスさもあるが、気さくで幸太にも親しげに話し掛けて来るので異性というよりは歳の近い友人という関係である。夫は長距離トラックの運転手で不在がちなのもあり、苑美たちと組んで若いアルバイトの男の子と遊ぶことがある様子。

垣内苑美
30歳で寝具売り場を担当する肉感的な肢体をした人妻。幸太と入れ替わりで辞めていったバイトの先輩によると、若いアルバイトを相手に筆下ろしをしてくれる「童貞キラー」であり、事実仕事で不在なことが多い夫に隠れて浮気を楽しんでいるようである。

小岩井景子
34歳でショッピングモールで働く未亡人。商社勤めの夫を5年前に亡くし保険金で裕福な生活を送るが、もて余した時間(と熟れた身体)を満たすために働いているらしい。苑美を通じて幸太をつまみ食いしようと自宅へ誘い、大人の関係を楽しむことになる。


【展開】

バイトを終えた幸太は姫香に誘われて大衆居酒屋でご馳走になるが、そこで苑美がいたことに甘い期待を抱きながらも童貞だと白状させられて恥ずかしさのあまりに自棄酒で酔っぱらってしまう。姫香と別れて苑美に介抱を受けたらしく幸太が気付いた時には、ラブホテルの一室で屹立した一物を咥えられていて、あっという間に騎乗位で童貞喪失を果たしてしまう。流石にこれはおかしいと幸太が苑美に訪ねると、姫香に協力してもらってこういうことを楽しんでいるとあっさりと告げられ、しかもモールの中にはそんな女性も少なくないと聞かされては唖然とするしかない。そしてある人に会って欲しいと頼まれ、断ることも出来なくなっていた。

苑美と結ばれた翌日惣菜売り場で景子に声を掛けられた幸太は今度自宅に招いて食事を作ってあげるからと誘われるが、こんな綺麗な人からなんてと社交辞令と思い込みその場を引き上げる。そしてバイトの休日に苑美から予定を空けていてと言われて夕方を迎え、喫茶店で会って欲しい人がいるからと連絡を受けて向かうと、何とその相手が景子で以前話があったように自宅で夕飯をご馳走になることに。しかも今夜だけ亡き夫の代わりになってと頼まれては断れるはずもなく、浴室で背中を流してくれた上に手扱きで射精に導かれる。そして寝室に移動し正常位で交わろうとするも、まだ二回目ということもあってなかなか思うようにいかないながらも目的を果たして満足に浸るのだった。

しかしそれから一週間が経っても苑美や景子から誘われることはなく、これが大人の関係なんだと幸太はがっかりする。そんな中ある日の夕方に惣菜売り場に向かう途中で麻衣を見掛けて後ろ姿だけでも目に焼き付けたいと後を追うと、何と見知らぬ男性客が彼女に近付いていて身体を撫で回しているのを目撃するが、何とか勇気を振り絞り男を振り払うことに成功するものの彼女がろくに抵抗を見せないことには疑問を抱かざるを得なかった。数日後バックヤードで休憩していた幸太は姫香に話し掛けられ、未亡人を武器に景子も男漁りをしていると聞かされた上に、姫香自身も一度幸太の巨根を味わいたいと誘ってくる。即尺してきた姫香に驚きながらも臨戦態勢にあった幸太は対面立位で交わり、人目につくスリルを味わいながらも中出ししてしまう。

三人の女性とは一度きりのままの幸太は、姫香から麻衣には付き合っている男性はいないと聞かされて告白しようと行動に出るが、呆気なく玉砕して自己嫌悪に陥りその場を動けない。しかし姫香たちに声を掛けられ半ば強引に苑美の家に連れ込まれると、こんな美女たちに慰めてもらえるなんて幸せ者だと言われて気を取り直し、女性たちに全身をくまなく愛撫されたり顔面騎乗されて秘所を味わったりする。そして姫香、景子と相次いで騎乗位で中出しさせられた後、ゆっくりと楽しみたいからと告げる苑美のしたたかさに感心しながらも連続射精を迫られるのであった。

三人に慰められたとはいえ幸太に取って毎日のように向かいのショップにいる麻衣と顔を合わせるのは辛く、バイト先を変えようと決意を固めるが、その矢先に苑美がたこ焼き屋にやって来て今晩景子の家に来て欲しいと告げられる。そこで何と麻衣と対面させられて驚く間もなく、苑美の口から自分たちと同類だと聞かされ、更に麻衣からはあの時助けてくれたのは単にプレイだったと告げられてショックを受ける幸太である。まさか麻衣もなんてと嘆く間も与えられずに楽しみだわと告げられ、しかも苑美の挑発に乗ってレズプレイを始めるが、麻衣の方が一枚上手で苑美をイカせると今度は幸太ににじり寄ってくる。シックスナインで高まった後バックで挿入するが長く持ちそうにないと思った瞬間、麻衣が上になってあげると告げて主導権を奪われると一度の放精で満足出来る訳もなく、幸太は暫くはここで働こうと決意を改めて快楽に溺れてしまう。


【レビュー】

ドラマチックな展開からサスペンスまで幅の広い作風を持つ作者だが本作では『誘惑ショッピングモール』というストレートな題名から連想させる通り、ど直球でコメディ要素を内包する誘惑路線となっており大学進学で上京した主人公【幸太】(20歳)はチェリーな青年で、女性との出逢いを求めて引っ越し屋からたこ焼き屋のバイトに移ったばかりである。様々なショップが並ぶモールだけに若い男子へ興味を持つヒロインたちも少なくはなく、その中で主人公は向かいのアパレル店で働く【麻衣】(26)に憧れを抱く一方で、ドーナツ店で働く若妻や「童貞キラー」と噂される寝具担当の熟妻や時計店で働く未亡人から誘惑される美味しい展開も待ち受けている。

「童貞キラー」の熟妻【苑美】(30歳)の手解きを受けた主人公は、未亡人【景子】(34歳)に頼まれて一夜の夫となり、その話を苑美に聞かされて興味を抱いた若妻【姫香】(23歳)と相次いで性的な関係を持ってしまう。夫のいる二人のヒロインとすれば欲求不満を解消させるための遊び相手という趣があり、おっとり天然な景子ですら実は…という一面を持っていて、彼女が欲しいと願う主人公としてはちょっと可哀想な扱いだが中盤で麻衣へアプローチする機会が訪れる。そこで撃沈されるのもお約束の内で、それでもヒロイン三人から癒しを与えられ麻衣も加わって…と思わぬどんでん返しを迎えるのである。麻衣自身も清楚そうに見えて実はかなりの性癖の持ち主であり、それを知らない主人公が彼女の「危機」を目の当たりにして動くに動けぬという描写もある。

全体的に主人公がそうガツガツした肉食タイプではなく、ヒロインたちの母性本能をくすぐりそうなちょっとおバカっぽい設定なのが読む側としては好感を抱くところであり、上げ膳据え膳な展開もいかにも現代的ではある。個人的には童貞キラーの苑美と溌剌とした姫香がせっかくの人妻設定なのだから不倫に陥る背徳感がもっとあっても良かったかなとは思うけれど、全般的にカラッとした仕上がりを目指していたようなのでこれはこれで良いのかもしれない。

tag : 大学生主人公 童貞

桜井真琴「淫情ホテル」

桜井真琴「淫情ホテル」
(二見文庫、2017年2月)

ネタバレ有り。御注意下さい。

作品紹介(公式ホームページ)

淫情ホテル (二見文庫)
桜井 真琴
二見書房
2017-02-27




【あらすじ】

大手商社をリストラされた雄一は不動産業を営む叔父の勧めもあり、債務先で北陸にある「天寿ホテル」の支配人として再建を任されることに。自殺願望の客が訪ねるといういわくつきのホテルにやって来た訳ありな女性客を催眠術を使って夢見心地にさせた雄一の活躍もあり、次第にホテルの経営は上向いていくが、ある日乗っ取り屋で知られる不動産屋の社長夫人が現れて立ち退きを迫られることに。


【登場人物】

船戸雄一
42歳の中年男性で勤めていた大手商社からリストラに遭い、妻とも別れている。不動産業を営む叔父に半ば担がれる形で、彼の融資先で北陸にある「天寿ホテル」の支配人にさせられてしまう。無職になった時に暇潰しに催眠術のセミナーを受けたことがあり、筋が良いと誉められてはいるが、本人も半信半疑の様子。

相本美久
28歳。かつて雄一の出向先で部下として働いていたOL。地味ながらも整った美貌で、E~Fカップはありそうな巨乳の持ち主。好きになった男性には妻がおり、尽くすあまりに逃げられてしまう運の無さを嘆き噂を聞いてホテルへ泊まりにやって来た。男性経験はほどほどにある。

中原栞
43歳。90年代にアイドルグループに所属していた歌手で、担当マネージャーである現在の夫に手出しされて以来事務所を独立せざるを得なくなり、長らく不遇に置かれたまま地方を回りながら生計を立てている。同世代の女性に比べるとアンチエイジングにも気を遣ってはいるだけに美貌は衰えていないが、人前で歌うことに自信を失い始めている。

岡田瑞希
21歳。「天寿ホテル」の仲居だが普段はパッチリメイクに巻き髪風のウィッグを被りギャル系そのものの風貌だが、実際は年相応に純粋な性格でショートヘアの似合う女子。かつて付き合っていた男に無理やり処女を奪われてしまい、表面的には意気がってはいるが男性不信で経験が少ないのを隠そうとしている。

藤間冴子
46歳。乗っ取り屋として悪名高い不動産業の「フジマ開発」の社長夫人で、専務の座に就くやり手の熟女。子供はいない。年上の夫との性の営みは少なく、度々東京にあるハプニングバーに出掛けては若い男を漁るのが趣味で、Sな女王様として振る舞うのが好きな様子だが…。

柏木志乃
40代?四年前に夫を亡くして以来「天寿ホテル」の女将として切り盛りしていたが、経営の才覚は無いに等しく次第に傾きつつある。夫は元々教師だったが両親からホテルの経営を引き継ぎ、人柄の良さ(優柔不断さ)もあってか、元教え子など訳ありな従業員たちが寄り付くようになったらしい。おっとりとした天然系の美女だが、打たれ弱くハプニングがあるとすぐに倒れてしまう。


【展開】

リストラされた雄一は叔父の勧められるがままに「天寿ホテル」にたどり着くがどうも評判が良くなさそうで、しかも従業員たちは何か訳ありな雰囲気を漂わせていて経営の立て直しを求められても気乗りできずにいた。その晩亡き主人が使っていた書斎で眠ることになったが、雄一は寝付けずに部屋を出ると女将の志乃の部屋から艶かしげな声が聞こえてきて、ドア越しに聞き耳を立ててしまう。その時フロントの男が女性客が夜中に外へ出ていってしまったと雄一を呼びにやって来て大騒ぎとなるが、当の本人は寒さの為かホテルに引き返してきたようで、雄一の顔を見ると課長と呟きながら倒れ込んでしまう。
翌朝女性客の部屋を訪ねた雄一は彼女がかつての部下だった美久だと知り、かつては地味なだけだったのに美しくなっていることに驚きを隠せない。そしてお互いの境遇を話しているうちに美久がやって来た理由を聞き出そうと考え、雄一が催眠術を掛けてみようと提案すると、彼女はあっさりと暗示に掛かり好きでしたと本音を打ち明けてくる。どうやら美久は男運がないようでそれを嘆いているが、さりとて雄一も今の境遇を考えると素直に応える訳にもいかず、ならば目眩く快楽を与えてあげようと帯を使って後ろ手に縛り付ける。M性で感じやすい体質なのか美久は指だけで達し、命じられるままに苦労しながら四つん這いになると雄一の剛直を受け入れてしまう。

ガイド誌の編集者として再就職した美久の勧めもあってホテルへの客足は次第に上向いて来てはいたが、ある日雄一は女将とともに経理の男から状況は思わしくないと聞かされて思わず大丈夫だからと根拠のない強がりを言ってしまう。気まずいなか二人が去った後瑞希が現れ、二階の貴賓室の客は無銭宿泊じゃないかと報告にやって来たので雄一が部屋を訪ねると、応対したのはかつてアイドルとして活躍していた栞だった。思わずファンの立場で栞と話しオナペットだったとまで言ってしまうが、彼女は申し訳なさそうにもう歌えないかもしれないと悩みを打ち明ける。催眠術で何とかできないかと雄一が提案するとどうやら上手くいったようで、栞はファンのいやらしい視線で濡れてしまうと告白し、人妻だから抱かれる訳にはいかないけど口でならと奉仕を申し出る。そこへ瑞希も様子を窺いに部屋にやって来るが、情事の邪魔をされたくないと二人は奥の間に逃げ込みシックスナインに浸ると、瑞希に見付かっても行為を止めようとはせずに果てるまで続けてしまう。
その晩日付も変わった頃栞は夫から興行をドタキャンされて赤字になったしこれからホテルを出ようと言われ、情けなさも感じながらも身支度を整えて部屋を出る。しかしその先にはカラオケバーがあり、運の悪いことに従業員たちの酒宴の真っ最中で栞だとバレてしまい、カラオケで歌わせられる羽目になる。暗示が効いたのか一曲歌えたことを喜ぶ栞は、雄一にお礼が言いたいと居場所を聞くと夫を置いて浴場に駆け込む。雄一にお礼を言う間もなく口付けを交わすと自ら「する?」と誘うが、そこへ夫が後を追って来たので岩陰に隠れると、夫と話をしながらも雄一に貫かれ性悦を味わうのであった。

タレントとして復活を遂げた栞の宣伝もありホテルの月間収支が黒字に転じたのを喜ぶ志乃を見て、雄一は思わず催眠術を使ってみたいと提案し愛の告白をするが、どうやら不発に終わったらしく志乃は怒って部屋を出ていってしまう。ある日団体客を受け入れたもののどうも瑞希の様子がおかしいと従業員たちから報告を受け、雄一はその晩に彼女の部屋を訪ねると、かねてからモーションを掛けていた瑞希からエッチしてと求められる。すかさず催眠術を掛けるとどうやら団体客の中に瑞希の元彼がいて、力ずくでモノにされた嫌な記憶がある様子。セックスに不馴れなのが分かると雄一は優しく全身を愛撫してから瑞希の秘所が濡れているのを確認し、初めてだという口唇奉仕を受けた後に身体を重ね快楽を教えていく。

数日後突然冴子が「天寿ホテル」へ乗り込み、今日から「フジマ開発」の所有物件になったと聞かされた雄一は叔父に連絡すると、資金繰りに困りやむなく債権を譲渡したと知る。冴子は3月末までに立ち退くよう一方的に告げて帰るが、従業員たちは当然納得する訳が無く、元ホストの板長から彼女がハプニングバーの常連だと聞いて弱味を握ってやろうと潜入することに。そこで雄一は冴子が若い男にアナル舐め手扱きをして周りの客を挑発し、馬乗りになってセックスしているのを見てしまい、自分も冴子に誘われたものの勢いに圧倒され腰がひけてしまう。そこで雄一は美久に連絡を取ると奇遇なことに冴子と共にゴルフをする機会があると聞かされ直接対峙する機会を得るが、冴子はバーでの一夜を覚えていただけでなく優位に立っていることを誇示するかのように木陰に誘い私を濡らしてみてと挑発される。雄一の愛撫では秘所が潤うことも無く、頼みの催眠術も全く効く気配が無い。それを嘲笑うかのように冴子に主導権を奪われるとペニスを露わにされ、足扱きで焦らされた後まるで犯されるように交わりを求められてしまう。

冴子に敗北してから二週間が経ち万策が尽きた中で、まだ立ち退き期限まで一日あるにも関わらず、「フジマ開発」の手先のヤクザ連中がホテルに踏み込み力ずくで追い出しに掛かろうとする。ものものしい雰囲気の中で雄一はまだ1日あるから待てと威圧すると「フジマ開発」へ出向き、冴子が現れるまで待ち伏せしてもう一度話をさせて欲しいと告げると、翌晩にパーティーがあるからと高級ホテルの一室に来るように誘われる。端からヤる気の満々の冴子に対して、雄一は今晩だけ自分の好きなようにさせて欲しいと言うと、着物の帯を使って彼女の手足の自由を奪いタオルで目隠しをしてしまう。縛られたままのエッチで激しく感じてしまった冴子から雄一たちが引き続き経営して良いと約束を取り付け、雄一がホテルに戻り祝杯をあげた翌日に温泉に入っていると、女将の志乃が背中を流しますとばかりにやって来る。彼女の態度を見て自分から攻めるべきだと悟った雄一は身体を抱き寄せ唇を奪うと、他人に見られるかもしれない場所で情交に及ぶ。催眠術に掛かったのかしらと呟く志乃に対し、雄一はきっと最初からだと微笑むのであった。


【レビュー】

あらすじの通り本作の主人公は40代になってリストラの憂き目に遭い妻とも別れた中年男性であり、不動産業を営む叔父に勧められるがままに支配人として北陸の寂れたホテルの建て直しを任されることになる。「官能エンターテインメント」と銘打っているだけあって主人公が暇潰しに教わった催眠術の知識を使い、訳ありな女性客たちを癒していくなかでエッチな展開になっていくのはお約束とも言えるだろう。

序盤はあらぬ風評によって訳ありな客しか泊まらなくなったホテルの客として主人公の元部下で男運の無さを嘆くOLや、人前に立って歌うのが不安になった人妻の元アイドルが訪ねて来る。ここは主人公が優位な展開で女性たちに癒しを与える流れであり、彼女たちが再起を誓って帰っていきその口コミもあってホテルの評判も上向きとなっていく。訳ありなのはホテルの従業員たちも負けておらず、天然で打たれ弱い未亡人女将や風貌の良くないフロントの男やギャル系丸出しの仲居(彼女とのエッチな展開もある)、元ホストの板前など個々のキャラクターが立っていて時折挟まれる彼らの話も面白いと思う。

中盤からはエンターテイメント性が強くなり、経済的に苦境に陥った叔父がホテルの債権を乗っ取りの悪評のある大手業者に売ってしまったことから、主人公が社長夫人とエッチな展開含みで対峙していく流れとなっていく。この頃には主人公の催眠術自体決して万能なものではなく、優位に立ってばかりということは無くなるのである。追い詰められた主人公の逆転劇はこの手の作品ではお約束のようなもので、Sな社長夫人が主人公によって性悦を味わせられる展開には溜飲が下がることであろう。その後の「ご褒美」もあって官能面とのバランスも良いと思う。

作者は女性向け官能小説を中心に活躍しているが本作は男性向けというのもあって、心理描写は主人公寄りなものが多くなっている。ヒロイン側の気持ちも描かれていても良かったのかなとは思うが、350頁に渡るボリュームなだけに十分な読み応えであり個人的には大満足な作品であったので高評価としたい。

tag : 社会人主人公

プロフィール

にゃら

Author:にゃら
千葉県在住の会社員。40代を迎えましたが、まだまだフラフラと迷う日々を送っています。
フランス書院文庫を中心に官能小説だけで蔵書が200冊近くになりました。整理したいと思いつつも手離し難く、最近電子書籍に目覚めて古い本から順に移行させつつも、まだまだ購入量の方が多いといったところです。
因みに一部で広報担当だとか、出版関係だとか思われているようですが、ただの会社員ですのであしからず(苦笑)

〈誘惑官能小説〉
主にヒロイン側からのアプローチで結ばれる官能小説。「私がオトナにしてあげる」などの舞台設定が好きな方にオススメします。
自分の年齢の半分以上(!?)官能小説に触れて来ていますが、最近は趣向の多様化もあって、一口に誘惑と言っても色々と華やかになっています。
なお個人的な好みが色濃く反映されていますので、作品によっては辛めな感想になりますが、その辺はご容赦下さい。

〈コメント〉
どなたでも書き込み自由ですが、管理人が許可するまではコメント欄に反映されないので、その辺りはご理解下さい。

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